東京下町の上野観光連盟が、AI自動翻訳サービス導入を決めた理由とは? 画像 東京下町の上野観光連盟が、AI自動翻訳サービス導入を決めた理由とは?

インバウンド・地域活性

 台東区上野を中心に、文京区と千代田区の一部にもまたがり、「アメ横」に代表される6つの商店街や地域のホテル旅館組合等に加盟する約1,000の飲食店や小売業社が加入し、年間の自主予算規模は約5,000万円の小所帯の上野観光連盟。発足は戦後の復興期、昭和25年までに遡る。関東大震災や第二次世界戦争で荒れ果てていた上野公園や不忍池を復活させ、上野を浅草と共に戦後の東京の一大観光歓楽地に導いた歴史と実績のある観光組織が、インバウンド観光地が共通に抱える課題を抜本的に解決しようと動き出し、注目を浴びている。

 どの調査でも外国人が日本を旅行する際の「困ったこと」の上位にランクされるのが「言語」の問題。上野でも、上野観光連盟が主催する2大イベント「うえのさくら祭り」と「うえの夏祭り」を楽しむ外国人観光客は年々急増し、しかも多国化している。

 上野観光連盟をはじめ、同地区の商店街やホテル旅館組合の課題として、そもそも翻訳会社の見つけ方や依頼の方法が分からない上、翻訳会社を見つけても、既存のサービスは単価が高くなかなか導入できないというハードルがあった。

 そのため上野観光連盟では、低コストで商店街やホテル旅館組合に推奨できる使い勝手の良い翻訳サービスを探していた最中、2017年7月、NTT東日本による文化観光業界特化型AI翻訳「ひかりクラウドcototoba」を活用した、凸版印刷が提供する観光事業者向け翻訳サービス「ジャパリンガル」を導入した。

 上野観光連盟では、この「ジャパリンガル」を使って「第34回うえの夏まつりパレード(7/22開催)」の多言語パンフレットを作成して、駅や商店会などに設置して英語、中国語でパレードエリアに関する情報案内を行った。パレードには約10万人の観光客が訪れ、そのうち約4万人は訪日外国人観光客が集まったが、参加者からも大変好評をいただいたとのこと。今後の多言語対応の展開として、「上野観光連盟」のホームページの多言語対応を予定。また、「上野文化の杜」と共同で、上野エリアにある美術館・博物館などのインバウンド向け近現代建築ツアーを今年の11月以降に計画するほか、「上野の山の建築ツアー・ハンドブック」の英語版の制作を予定している。

 上野観光連盟では、これまで積極的に他言語対応を考えてこなかった商店主や組合に対して、店主が自ら翻訳作業が出来、自社の商品説明や店内案内のPOP等を気軽に他言語できるようにジャパリンガルの導入を勧めていくという。具体的には、店主ごとに「ジャパリンガル」のIDを店主個々に発行するのではなく、上野観光連盟が「ジャパリンガル」と包括的な契約を結び、上野観光連盟に加入する商店主(翻訳依頼者)の間に入って、上野観光連盟がまとめてジャパリンガルに翻訳依頼を行う仕組みを構築していくという。これによって商店主は通常料金よりも廉価で翻訳サービスが利用できる上、上野観光連盟は地区の加盟店の多言語サービスの導入状況を把握できる上、店舗ごとの多言語表現の差異をなくし、同地区の他言語サービスのクオリティーを均一化できるメリットがある。

●NTT東日本「cototoba」について

 ・独自に制作・収集した文化観光分野の対訳コーパスや頻出フレーズ・単語を大量に機械学習させることで、同分野における翻訳精度を向上させたAI翻訳サービス。主に、デジタルコンテンツ制作(Webサイト、アプリ、デジタルサイネージ等)のサービスを有している企業(パートナー企業)に対して、翻訳機能をAPI提供している。

 ・パートナー企業は、デジタルコンテンツと多言語翻訳をセットで提供することで、文化観光施設等(エンドユーザ)に対しワンストップで多言語ソリューションを展開することが可能となる。

●凸版印刷「ジャパリンガル」について

・凸版印刷がこれまで培ってきた翻訳データベースを活用した高品質な翻訳サービスのノウハウと、NTT東日本の「cototoba」のAI翻訳を融合し、観光地や宿泊施設、店舗などの様々な情報を手軽に翻訳できる観光事業者向け訪日外国人向けの他言語翻訳サービス。AIによる機械翻訳と翻訳者による校正を組み合わせることで、人手校正負荷を大幅に下げ、低価格な翻訳サービスの提供を実現した。

・利用者はパンフレットや、ホームページ、メニューなどの翻訳したい原稿を、Web上で24時間365日いつでも依頼することができ、依頼する原稿は「cototoba」により高精度で機械翻訳されます。さらにその訳文は、世界各地の契約した翻訳者によりクラウド上で校正されるため、利用者は高品質な訳文をWeb上で素早く受け取ることが可能となる。

width=

★毎週月曜発行★
編集部オススメ記事をピックアップ!
HANJO HANJO メールマガジン登録はこちら
《三浦 真/HANJO HANJO編集部》

編集部おすすめの記事

特集

インバウンド・地域活性 アクセスランキング

  1. キウイ新品種「甘うぃ」が販売開始。黄色・高糖度で大玉!

    キウイ新品種「甘うぃ」が販売開始。黄色・高糖度で大玉!

  2. 五輪後の建設市場は「減少」か「横ばい」…アナリストに聞く

    五輪後の建設市場は「減少」か「横ばい」…アナリストに聞く

  3. 川崎・キングスカイフロント、客室200室のホテル建設!

    川崎・キングスカイフロント、客室200室のホテル建設!

  4. 近大医学部、付属病院、堺市への移転計画/健康・医療分野の民間投資を促進

  5. 狙え、インバウンド需要! ホテル業界の事業戦略を追う

  6. ヒューリック、直営ホテル新規出店/観光分野で攻勢

  7. 日本油脂王子工場跡地開発、大型商業施設と共同住宅の建設へ

  8. 【コト消費化するインバウンド:1】料理教室で和食体験!

  9. 上諏訪駅東口駅前ビル、1階には 「ツルヤ」が入居

  10. リンゴの発泡酒「シードル」急成長! 収益性が魅力

アクセスランキングをもっと見る

page top