ヤマハが農業を変える? ドローン参入、無人ヘリ30年のノウハウ活かし 画像 ヤマハが農業を変える? ドローン参入、無人ヘリ30年のノウハウ活かし

制度・ビジネスチャンス

産業用無人ヘリコプターで市場をリードするヤマハが、ここへきてドローンを手がけ始めた。しかもステージは、農地。「優れた薬剤散布性能を発揮する二重反転ローター採用産業用ドローン」をウリ文句に、事業領域を広げていく同社の狙いと開発経緯を聞く。

ヤマハ発動機が開発した、この二重反転ローター採用産業用ドローン「YMR-01」は、国際次世代農業EXPO(幕張メッセ、10月11~13日)で参考出品されていた。

◆ヤマハの産業用ドローン「YMR-01」

YMR-01の最大の特徴は、「6軸ローターの左右2軸を上下二重反転させ、8枚ローター式を採用することで適切な降下気流を生み、二重反転軸近傍に散布ノズルを設置することで、作物の根本まで均一に薬剤を届ける」という仕組み。

価格や製造工場、販売目標などは「未定」としながらも、「来春には明らかになるだろう」と伝えていた。

ちなみに、その横に置かれていたのは産業用無人ヘリ「FAZER R」2018年モデル。実はあまり知られていないが、ヤマハは産業用無人ヘリでは国内トップシェアを誇る。このFAZER Rのメーカー希望小売価格は1285万2000円と非常に高価だが、OEMを除く国内販売で年間140機販売を計画している。

無人ヘリで市場をリードするヤマハが、なぜドローンを手がけるのか。そんな素朴なギモンに、各務龍一マーケティング企画担当主査が答えた。

◆後継者不足の農業現場にこそドローンを

「無人ヘリでヤマハは30年以上、農家や団体などとリレーションを持っているが、高齢化や若年層の就農率低下などで、厳しい世代交代期に直面している。『無人ヘリに代わるモデルがドローン』とは一概にはいえないが、無人ヘリのノウハウとつながりを横展開し、ダウンサイズや世代交代を目的として、ドローンを選ぶ人も増えるだろうと」(各務主査)

そこで同社は、「ヤマハだからこそ」という品質の産業用ドローンを開発し、そこに教習・講習やアフターフォロー、アフターサービスをセットにして、トータルに引き受ける商品展開をめざすという。

さらに各務主査は、「無人ヘリで培った、30年以上のノウハウを持つ販売ネットワークと連携し、日本市場に無人機の販売から運用までを適切に浸透させていきたい」と意気込む。

「いま、ドローンは通信販売などで購入できる時代だが、性能や安全面についての保証はそれぞれ。農業の現場でいったん事故が起きた場合、無人航空機産業が破滅してしまう。だから、ドローン操縦技能が一定レベルに達していないという実情をとらえ、ヤマハオリジナルの教習システムも来春に発表する予定」

「ユーザーの誰もが、一定期間の教習で一定の操縦レベルに到達できるようなプログラムを提供していく。さらに、ユーザーの経営規模やニーズに合わせて、ヘリとドローン、最適なものを提供しながら農業ソリューション事業を手がけていく」(各務主査)

◆陸海空を網羅する無人機の開発に

いっぽう、ビークル&ソリューション事業本部の中村克UMS事業推進部長は、同社の産業用ドローンのアドバンテージについて「個人ユーザーの細かいニーズにも対応できる」とも語る。

「無人ヘリは、広い面積をいっせいに散布するのには適しているが、狭い面積の田畑や、個人ユーザーの『あした蒔きたい』といったニーズに小回りがきく機材としては対応しきれないところがある。ヤマハの展開としては、ヘリとドローン、さらにはボートなども含めて、用途やケースに応じて使い分けてもらうというイメージ」(中村部長)

中村部長は最後に、“いかにもヤマハらしい展開”と思わせるビジョンを語ってくれた。それは、陸海空のシームレスな展開についてだ。

「今後は、精密農業などのソリューションも含めたソフトウェアビジネスも視野を入れて展開していく」

「もう一点は、農業は地面で行うものなので、陸海空でトータル展開したい。ヤマハ発動機でいう、無人車(UGV:Unmanned Ground Vehicle)、無人艇(UMV:Unmanned Marine Vehicle)、無人ヘリコプター(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の Un-Manned System(UMS)事業をさらに推進させ、陸海空を網羅する無人機の開発に取り組みながら、事業領域を広げていきたい」(中村部長)
《大野雅人》

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