<シリーズ> 陶磁器産業復活のシナリオ(事例・常滑編) 画像 <シリーズ> 陶磁器産業復活のシナリオ(事例・常滑編)

インバウンド・地域活性

■常滑ニューウエイブ~若手デザイナーの移住と新たなプロジェクトの誕生~

 今年、常滑市ではやきもののまち常滑の未来を創ることを目的に「とこなめ焼PROJECT」がスタート。6月には「とこなめ焼 DESIGN SCHOOL」が開校しました。

 期間は10ヶ月、内容は研修生が主体となりコト作りや場作りなど多様なプロジェクトを生み、実践する場で、参加者にはやきものの作り手に限らず、伝え手、売り手、使い手などを広く募りました。また海外での活躍経験も持つデザイナーや編集者等、様々な分野や地域で活躍する講師を招き、アイデア実現に向けたサポートを行うものです。

 このプロジェクトのプログラムディレクターを務めるのが2015年に常滑市に移住した高橋孝治さんです。

 現在、常滑市を拠点に各種企業団体とプロジェクトを進行しており、常滑市陶業陶芸振興事業推進コーディネーターも務めている方ですが、実は2005から2015年までは良品計画に籍を置き、無印良品のインハウスデザイナーとして主に生活雑貨の企画・デザインの分野で活躍されていました。

 今、高橋さんはじめ、常滑に魅力を感じて集まってきたこうした若手クリエイター等が新たな波を起こそうとしています。今年「やきもの散歩道」に隣接する常滑市陶磁器会館内にオープンしたクッキングスタジオ「とこなめ焼WORKSHOP」では隔月で常滑焼と地元の旬の食材を絡めたワークショップを開催。

 県産の大豆と米糀を使い、常滑焼の甕で味噌を仕込む回では、編集者であり日本のソウルフードおにぎりと味噌汁の魅力を提案する「おにぎりやさん」を主宰する杉江さおりさんが講師として参加。ほかにも常滑焼を使った鉢植えや常滑焼の急須でお茶を楽しむ回など、やきものを通じて暮らしを豊かにするコト化や体験観光づくりに力を入れています。

 もちろん、常滑にも課題がないわけではありません。やきもの散歩道がある市街地への来訪者数は微減傾向にあるほか、年間1164万人が来場する中部国際空港等、集客力のある大型施設から市街地への客の回遊やインバウンドの取り込みも十分とはいえません。やきもの散歩道のもう一つのコースは広範囲に点在するハコモノが中心、二次交通の課題もあり、資源を有効活用できていない部分もあります。

 しかし、早くからやきもののコト化の可能性を認識、振興策を練り、官民挙げて必要な取り組みや検証や見直しを継続した結果、新たなやきものの可能性を実証しました。

 衰退産業、斜陽産業と自ら可能性を閉ざす地域ではその可能性すら未だ認識されてはいませんし、取り組みは全く進んでいません。この手本となる先駆例に学び、奮起を求めるものです。



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《水津陽子》

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