外食産業の生産性向上~エヴァンジェリストからの提言(後編) 画像 外食産業の生産性向上~エヴァンジェリストからの提言(後編)

IT業務効率

 9月以降、「食」に関わるイベントや展示会が目白押しだ。秋が来るたびにイメージとして浮上してくる「食」だが、こと外食産業に限って言えば、長く低迷が続いてきた(今年6月にようやく市場規模が14ヶ月ぶりに前年比プラスになった)。その主な要因は、このところ顕著となっている食の安全性への疑義、過酷な労働環境によるイメージ低下、そして人材不足をあげることができるが、やはり最も大きいのは人口減少と少子高齢化の影響だ。

 現在、日本経済のテーマとなっている「サービス産業の生産性向上」、ここに市場規模において狭義で25兆円、広義で31兆円近い外食産業が含まれていることはもちろんだが、この巨大産業が生産性について積極的に取り組まなければ、日本全体の生産性向上にはつながらないとも言えるはずだ。

 ではどうすれば外食産業がその目的に到達することができるのか? 9月29日の前編に引き続き、さらに詳しい話をホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリスト、竹田クニ氏に聞く。


■外食産業が生き残るために必要な「付加価値の見極め」

――外食産業の生産性向上において重要である「付加価値」ですが、職人の手仕事が価値とも言えるし、機械化でリーズナブルな価格を提供する店も違った価値を提供していると言えると思いますが、付加価値を提供するための対策、解決策はどんな基準で選べばよいのですか?

 結論から言えば、何が「価値」であるかを見極めることです。

 例えば天ぷら屋さんを例に挙げましょう。デートや接待に使えるお店では、店主が素材を吟味し、いい油を使い、熟練の技で丁寧に揚げることに意味があります。この場合の価値は店主の目利きと熟練の手仕事ということになります。

 一方でオフィス街にある天丼・天ぷら専門店は、早くて安くてそこそこおいしい。これが価値です。ですからいくら機械化をして、接客を簡略化しても価値毀損は起きないんです。これを前者の天ぷら屋さんでやってしまうと、その店の付加価値は損なわれてしまう。

 顧客にとっての価値を見極めるためには、消費者のタイプとシーンを見ることが重要です。タイプとは性年代だけでなく生活スタイルや、食に対する関心度などの違いであり、シーンは「場」の種類のことで、例えば仕事の宴席とか、プライベートのデートだったり・・・同じ人が持つ様々な食の「場」を持っており、シーンによって求められる、ふさわしい「価値」というのは異なります。

「価値」を測定するのに有効なのがバリューカーブと呼ばれる手法です。バリューカーブ(*)を描いてみるといいかもしれません。

(*編注)価値を可視化するための分析手法。消費者から見た「価値」を採点することで、競合店と比べた「強み」と「弱み」が明確になる。

――中小や個人商店はマーケティングや状況分析を苦手とするところが多いようです。まずはどこから手を付ければいいのでしょうか?

 自分の店がどんなタイプの人の、どんな機会(シーン)に、何を価値に戦っているのかを明確にすることが大事です。

 例えば会社員の多い街でしゃぶしゃぶ店を経営しているとしましょう。会社の宴会をターゲットに予算3000円で食べ放題をやろうとすると、ライバルには居酒屋や焼肉屋が想定されます。一方で接待などのかしこまった席で1万円のコースをやろうとすると、ライバルは割烹やホテルのレストランになります。つまり、自社がアピールするのは食材なのか、空間なのか、接客なのか。バリューカーブを使って付加価値を明確にしつつ、優先順位をつけることが必要です。

――飲食業界の目の前にある問題のひとつは人材確保です。外国人、主婦、高齢者などの雇用には今後、どのような視点が必要ですか?

 外食産業は以前からパートやアルバイトが戦力となっていますが、経営者はマネジメントの考え方を改めなければなりません。一つのポイントとしては「フルタイム・マルチタスクからの脱却」です。フルタイムで働いて、何でもやれる人のほうが偉い、上級であるという考え方から脱却する必要があります。そのためには業務を細分化して、その業務に適したスキルを持っている人がそこを担当し、異業務混合のチームとしてトータルパフォーマンスを上げることが大切です。


《HANJO HANJO編集部》

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