新たな「フェニックス族」――都市と地方の新たな関係 画像 新たな「フェニックス族」――都市と地方の新たな関係

インバウンド・地域活性

 頻繁な「介護帰省」に留まらず、筆者の知人だけ考えても、実家での介護の必要性から、大都市での会社勤めを辞め実家ないし近隣に「Uターン」した「介護離職者」は何人かいる。あるいは、子育ての環境などを考え、自ら積極的に地方部に移住する人が増加しているというニュースもよく耳にする。筆者はバス運転手専門の求人情報サイト『バスドライバーnavi(どらなび)』の監修を担当しているが、求人情報を掲載してくれる地方のバス事業者には、「Uターン・Iターン」への期待が大きいようだ。「フェニックス族」当時とは反対に、大都市側の在住者が地方へ向かう動きが拡大しているということだ。

 彼らは、決して、夢破れて「都落ち」するわけではないから、大都市での生活様式や仲間との縁を全く切ってしまうわけではないだろう。地元から大都市への交通機関が充実していることは、そのような人たちにとって大きな安心材料となるだろう。

 地方部では、無秩序に都市化が進んだ郊外地区や、高齢化と人口減少が止まらない中山間地域から、中心市街地に人口を誘導するコンパクト・シティの政策が今後ますます進展するだろう。地方都市の中心市街地周辺は、「ほどほど住みやすい街」として魅力を取り戻すかもしれない。総じて人口が減少するこの国において地域間で人口の奪い合いが続く中では、「ほどほどの住みやすさ」を競うということでもある。その「ほどほどの住みやすさ」を実現する条件の一つが、廉価かつ快適、高頻度に運行される交通機関によって気軽に大都市にも出かけられること、であるならば(個人旅行化が進展する観光客を全国へお連れする、という需要の取り込みと並んで)、高速バスが地元に対して果たせる重要な役割の一つだと言える。

「新しい時代のフェニックス族」は、本物の「フェニックス族」のような気負いはなくもっと自然体で、若者からリタイア組まで年齢層も幅広いのかもしれない。


●成定竜一(なりさだりゅういち)
高速バスマーケティング研究所株式会社代表。高級都市ホテルチェーンを退社後、06年に楽天バスサービス株式会社に入社。楽天トラベル「高速バス予約」サービスの事業責任者を経て、同社取締役に就任する。11年に退職すると、高速バスマーケティング研究所を設立。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員(10年度)、「国内観光の振興・国際観光の拡大に向けた高速バス・LCC等の利用促進協議会」(15年度~)などを歴任する。


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《成定竜一》

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