サービス業のIT利用最前線!12 24時間スマホで把握、進化する介護付きホーム/アズパートナーズ 画像 サービス業のIT利用最前線!12 24時間スマホで把握、進化する介護付きホーム/アズパートナーズ

IT業務効率

【記事のポイント】
▼介護付きホームでは積極的にIT/IoTを取り入れることで、ケアの質的向上とスタッフの負担軽減が可能
▼睡眠計兼センサーにより入居者の睡眠状態把握などが手元のスマホで管理できる
▼記録・巡回作業をIoTが行うことで、スタッフは入居者のケアやコミュニケーションなどに時間を割くことができる


 インバウンド需要の拡大、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックといった要因から、「おもてなし」がキーワードとして注目されている。さらに、IT/IoTを活用した「おもてなし2.0」とでもいうべきサービスや製品が、飲食業・旅行業・物販業の領域で、多数登場しつつある。本記事はそうした最新事例を紹介し、自社での導入の参考とする内容だ。

 今回は、株式会社アズパートナーズに焦点を当てる。同社は、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス(通所介護)、ショートステイ(短期入所)などのシニア事業・不動産事業を展開する企業だ。2004年に創業し、現在は介護付きホーム15棟、ショートステイ3か所、デイサービスセンター9か所を首都圏中心に展開している。

 同社は積極的にIT/IoTを取り入れ、ケアの質的向上とスタッフの負担軽減にも注力しており、2017年3月には、介護業界向けの統合型システム「EGAO link」を発表。自社施設での活用を開始している。要介護者を迎える心は、「おもてなし」に根本が通じるものだ。そうしたことから、同社事業推進部 広報・営業企画グループ チームリーダーの曽根香苗氏、シニア運営統括部 介護ICT/IoTシステム担当の小野大介氏に、話を聞いた。

■介護業界初の統合型IoTシステム「EGAO link」とは?

「EGAO link」は、入居者の状況を集中把握・記録し、手元のスマートフォンでいつでも確認可能にする、業界初のシステムだ。ナースコールにも対応し、24時間体制で大幅な業務効率化を実現できる。「EGAO」はもちろん“笑顔”の意味だが、「Efficien(効率の良い)」「Gadget(便利な道具)」「Advance(前進する)」「Opportunity(機会を作る)」の略でもある。

 介護現場向けには、さまざまなIoT/ICT機器が各メーカーから投入されているが、有機的に連携しておらず、効率アップが限定的な状況だった。EGAO linkの企画において、アズパートナーズが主導して各社に声を掛け、2015年より始動した。以後、パートナー会社4社と約1年3か月にわたり、現場目線でシステムを構築。その際に、一部のレベルの高いスタッフや専門性の高いスタッフだけでなく全スタッフが抵抗なく使えること、新規施設だけでなく既存施設でも導入が容易なことを重視したという。

「介護保険制度では、要介護者の状態や介護内容、生活状況、ケアプランなどを記録することが定められています。これがいわゆる『介護記録』です。この作業は、当然全入居者が対象になるわけですが、60名いたら60名分という膨大な量になる。これまでは手書きだったこともあり、これがスタッフの大きな負担でした」(小野氏)ということが、企画の背景にあったという。

 実際に、同社の介護付きホーム「アズハイム町田」(町田市根岸町 1009-7)に導入し効果測定したところ、約17時間/日(スタッフ2名分)と大幅な労務時間削減につながった。6月1日運営開始を開始した介護付きホーム「アズハイム練馬ガーデン」(練馬区田柄 2-34-7)では、アズハイムシリーズとしては初めて、新設時からEGAO linkを導入した。8月からは「アズハイム大泉学園」(練馬区大泉町6-7-15)に導入、以降は横浜でも導入の予定。2年以内には全拠点に導入する計画だ。

 なお、EGAO linkの導入費用だが、60床規模のアズハイム町田の場合で、約2000万円。今後は自社物件だけでなく、OEM提供も検討を開始している。すでに見学問い合わせも寄せられているという。

■IoTにより現場スタッフと要介護者の負担を軽減

 EGAO linkそのものは、睡眠計兼センサー「眠りスキャン」(パラマウントベッド)、ナースコール「Vi-nurse」(アイホン)、介護カルテシステム「ちょうじゅ」(富士データシステム)、ナースコールゲートウェイ(住友電設)という、4つのシステムで構成される。睡眠・覚醒・離床、呼吸状態を常時モニタリングし、ナースコールがあればそれも通知・記録する。ナースコールはゲートウェイを通じて、スマートフォンでの呼び出しも可能。またスマートフォンから状態を把握したり記録を入力したりすることもできる。これにより、体調不良・急変の早期発見、転倒事故の減少、ナースコール自動記録、夜間の排泄ケア、さまざまな行動パターンの把握といった効果が見込めるというものだ。


《冨岡晶/HANJO HANJO編集部》

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