建機メーカー、「アジア重視」にかじ/米・中景気不透明でリスク回避 画像 建機メーカー、「アジア重視」にかじ/米・中景気不透明でリスク回避

海外進出

 建設機械メーカー各社がインドや東南アジアなどアジア南部での営業展開を強化している。需要が旺盛なことに加え、米トランプ政権の迷走で北米市場の先行きに不透明感が出ていること、中国の景気が今秋の党大会後に悪化する懸念があることなどが背景。日立建機はインド国内の販売代理店を年内に3割近く増やし、コベルコ建機は現地工場の生産能力を3~4割増強。コマツもインドネシアに海外初の建機開発部門を立ち上げた。
 日本建設機械工業会によると、6月の建設機械輸出額は20・9%増の1326億円と8カ月連続で前年同月を上回った。特にアジアやアフリカなど新興国の需要が伸び続けていることが輸出額の増加に寄与している。
 北米でもエネルギー関連、中国でも道路・空港整備などを中心に大きな建機需要があるが、いずれも政権の方針転換によって公共投資が急減するリスクを抱えている。
 各社は危機回避の観点から、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などアジア市場を重視する姿勢を鮮明にしている。特にインドでは、インフラ投資に前向きなモディ首相の影響もあり、各社が積極的に投資している。
 日立建機はインドでタタ・モーターズと合弁事業を展開中。インドでの連結売上高(17年4~6月期)は約155億円と、前年同期に比べ6割以上増加した。インド国内の販売拠点を年内に現在の240カ所から300カ所に増やす目標を掲げる。販売店網を全土に広げ、旺盛な需要を取り込む狙いだ。
 同社は「インドは西欧ほどの面積があるが、インフラ整備はこれから」(広報・IR部)とインド市場を有望視する。インドでは必要最低限の装備に絞った比較的安価な油圧ショベルの需要が高いという。
 コベルコ建機は、インドでの需要増加を受け、本年度からチェンナイ工場の油圧ショベル製造量を1日当たり6台から8台に拡充。インドで年間約2000台を生産する体制を整えた。
 油圧ショベルとクレーンの生産・販売を手掛ける二つの現地法人も近く統合し運営を効率化する。タイには、東南アジア各国向け製品の生産・販売を行う新会社を設立した。
 コマツの17年4~6月期の売上高は「中国やインドネシアなどで需要を着実に取り込んだ」(決算説明資料)ことなどにより、44・2%増と大きく伸びた。同社が東南アジアの「最大市場」と位置付けるインドネシアでは、石炭価格の上昇を受けて炭鉱で増産が始まり、鉱山機械の需要を押し上げた。
 コマツは昨秋、インドネシアの現地法人・コマツインドネシアの敷地内に海外初の建機開発部門「アジア開発センタ」を新設した。インドネシアを含む東南アジア市場向け製品の企画・開発を行う拠点として、地域のニーズを敏感にすくい上げる。
 日本国内では建機の排ガス規制強化に伴う駆け込み需要の反動減で、需要が低調に推移している。海外では、政治的な理由でドル箱だった北米・中国市場に陰りが見え始める中、各社がアジア市場を重視する傾向が続きそうだ。

建機メーカー/「アジア重視」にかじ/生産・販売増強、米・中景気不透明でリスク回避

《日刊建設工業新聞》

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