成功する新業態:02|胡蝶蘭と同価格でインパクトのある花を贈る/Sakaseru 画像 成功する新業態:02|胡蝶蘭と同価格でインパクトのある花を贈る/Sakaseru

制度・ビジネスチャンス

【第2回 株式会社Sakaseru】

 少子化によってマーケットが縮小する中では、寡占状態の事業に新規参入しても成果は見込めない。今ビジネスを大きく成功させるために必要なのは、パイを奪い合うことではなく、新たなパイを生み出す「新業態」の開発だろう。

 前例のないビジネスモデルは大きな可能性を秘める一方で、新たな方法論、仕入れやマーケットの開拓をゼロベースから始めることになる。では、どうすれば成功する新業態を生み出すことができるのか? 連載第二回目では、トップフラワーデザイナーに花のオーダーメイドができる「株式会社Sakaseru」に、そのヒントを探る。

■胡蝶蘭と同じ金額で記憶に残る花を贈る

 法人のお祝いごとに贈られる花といえば胡蝶蘭が定番だ。しかしそんな常識を覆し、胡蝶蘭と同じ金額帯でより印象に残る花を贈ることのできるサービスをもって起業したのが、株式会社Sakaseru(サカセル)だ。定番に負けないための工夫は、トップフラワーデザイナーによるオリジナルなアレンジメント。数多くの企業がSakaseruのサービスに満足を覚えているという。

 代表取締役社長である小尾(おび)龍太郎氏は2015年に株式会社Sakaseruを設立。その後順調に業績を伸ばし、今年(2017年)秋には大手コンビニとの業務提携が予定されている。そもそもなぜ胡蝶蘭に代わる花を贈ることを思いついたのだろうか。

「もともとは個人のお客様向けに花の販売を考えていたのですが、今はなかなか花が売れない時代です。そこでコンスタントに花の注文がある法人向けのサービスを考えました。法人向けの花といえばまず胡蝶蘭です。しかし胡蝶蘭は飾られたところで、結局送り主の立て札しか確認してもらえないことが多い。胡蝶蘭自体がマンネリ化してしまっているんですね。そこで『胡蝶蘭と同じ料金でインパクトのある花が贈れます』という提案をいろいろな企業の秘書室や総務の方にしました。彼らはPRについての感度が非常に高く、胡蝶蘭に囲まれた中に違う花があると目立つ、それが宣伝になるということをすぐに理解してくれました。どうせ贈るのならマンネリを脱却できるものをということで、喜んで私たちのサービスを選んでくれました」

 もちろんただ単に同じ金額の花を用意するだけではない。花のデザインはトップフラワーデザイナーが手がけ、花を選んだ理由(例えば企業のコーポレートカラーをイメージした花材を使うなど)を丁寧に説明することも、顧客に喜ばれている一因だ。また、既存の花屋が電話やFAXによる注文がメインであるのに対し、Sakaseruではネットから簡単に注文をできるようにしている。これにより顧客とのやり取りがスムーズになるだけでなく、花に添える札の確認なども画像ファイルを添付することができ、名前の間違いなどがなくなるという。

 ITを活用することで、「速い」「安心」「同じ価格」という条件で特別なものを贈ることができるSakaseruのサービスは、口コミを中心に広がりを見せ始めたのである。

■新宿・歌舞伎町での経験が花を手がけるきっかけに

 小尾氏が花を手がける仕事を始めたきっかけは、新宿・歌舞伎町でのある経験が下地だという。もともとシステムエンジニアとして大手IT企業で働いていた小尾氏は、いまから4年前にフリーのエンジニアとして独立。しかし独立直後は思うように仕事も入らず困っていたところに、以前の職場の上司が歌舞伎町にある花屋を紹介してくれた。その花屋というのは歌舞伎町のホストクラブに花やシャンパンタワーを卸す企業。思うように業績が上がらず、小尾氏にITを利用した業務改善を求めてきたのだという。

 当時その企業では顧客の注文を紙ベースで管理していたため業務効率が非常に悪く、また各部門ごとに分業化されすぎていて横のつながりがよくなかったという。企業が抱えている問題のボトルネックを見つけた小尾氏はモバイル端末用のアプリやデータベースの活用を提案。自らアプリの開発・導入を行ったところ業務が大幅に改善したそうだ。その経験により自分の力が街の仕事に貢献できることに魅力を感じた小尾氏は、六本木で花屋を運営する企業の立ち上げに関わった後、株式会社Sakaseruの設立に至る。

 歌舞伎町での経験について小尾氏は「異業種の仕事を知り、リスペクトすることが大切だと思います。フェアな目線で接し、自分が貢献できることを相手に示せば信頼を得ることができます。相手から警戒されにくくなれば、いろいろなことを教えてくれるようになります」と語る。


《HANJO HANJO編集部》

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