サービス業のIT利用最前線!11 「落とし物」をこの世界からなくすために/MAMORIO 画像 サービス業のIT利用最前線!11 「落とし物」をこの世界からなくすために/MAMORIO

IT業務効率

【記事のポイント】
▼紛失防止機能を搭載したキーホルダーは、近年さまざまな商品が登場している
▼一般消費者向けの紛失防止タグだが、企業の管理業務(機材の位置情報など)などにも利用できるため用途は広い
▼2020に向けてイベントが多くなるいま、商業施設やイベントホールなど人の集まる場所での紛失防止タグの利用を、企業や行政が注目している


 インバウンド需要の拡大、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックといった要因から、「おもてなし」がキーワードとして注目されている。さらに、IT/IoTを活用した「おもてなし2.0」とでもいうべきサービスや製品が、飲食業・旅行業・物販業の領域で、多数登場しつつある。本記事はそうした最新事例を紹介し、自社での導入の参考とする内容だ。

 今回は、紛失防止デバイス「MAMORIO」を扱うMAMORIO株式会社(以下MAMORIO社)に焦点を当てる。MAMORIO社は、もともと「株式会社落し物ドットコム」として設立された企業だ。紛失物に関する情報を集約するポータルサイト「落し物ドットコム」を運営していたが、そこからの延長として、タグ(キーホルダー)タイプの超小型ハードウェア「MAMORIO」の開発に至ったという。その根底にあるのは、“「落とし物」をこの世界からなくしたい”という思いだ。今回は、同社COOの泉水亮介氏に話を聞いた(ディレクターの桶本茂理氏も同席)。

■ユーザーみんなで紛失物を探せるのが「MAMORIO」の特長

 「MAMORIO」は、世界最小クラスの「落し物防止タグ」だ。カギやバッグなど、日常生活で忘れ物になりがちなアイテムに取り付けておくことで、紛失を防止できる。Bluetooth機能を搭載しており、MAMORIO本体とスマートフォンが離れた際に「紛失アラート」で手元から離れたことをプッシュ通知する。また最後に手元にあった場所の位置情報を記録しており、万が一紛失した場合もすぐに確認できる。

 こうした、紛失防止機能を搭載したキーホルダーは、近年さまざまな商品が登場している。MAMORIOのように、離れた際にアラートする商品のほか、スマホから操作してブザー音を鳴らす商品などもある。ネットショップなどでは一般的なキーホルダー以上に売れ筋となっている。

 MAMORIOが、こうした類似製品と一線を画すのは、独自の「クラウドトラッキング機能」を用意している点だ。「クラウドトラッキング機能」では、ユーザー同士が協力して、紛失物を探すことができる。クラウドトラッキングモードをONにすると、サーバーにMAMORIOが紛失中であることが登録される。たまたま他ユーザーが、紛失中のMAMORIOの近くを通りかかると、その地点の情報が、持ち主のスマートフォンに届けられる。これにより、従来の紛失防止製品より、発見可能範囲を大きく広げているのだ。また、MAMORIOユーザーが増加すればするほど、紛失物の発見確率がより高くなる構造になっている。

 「MAMORIO自体はツールの1つでしかなく、“紛失物をなくす”というのがサービスの根本」(泉水氏)であり、“家のなかでの失せ物を見つける”のではなく、“外出時の物忘れを防げる”“みんなで見つけることができる”のが、他製品との違いとなっている。またサイズの小ささも、利便性を大きく高めている。

■駅や商業施設に専用アンテナを設置中

 MAMORIO社は2012年7月、株式会社落し物ドットコムとして創業。「なくすを、なくす」が同社のミッションだという。「紛失問題に特化した事業としてスタートしました」(泉水氏)とのことで、落とし物をした際の対処方法のほか、紛失物・拾得物の報告、TwitterやFacebookでの拡散といった情報提供を行っている。「全国の遺失物保管所のデータベースも持っており、企業が遺失物を探す際の代行なども行っていました」(泉水氏)という。そこから、BLE(Bluetooth Low Energy)技術やスマートフォンの普及、サービス開発の試行錯誤などがあり、MAMORIOのアイデアに至った。

 MAMORIOの具体的なスタートは2014年。9月にクラウドファンディングサイト「MotionGallery」にコンセプトを掲載し、支援募集を開始したが、当初予定の150万円を4日で達成し、10月31日には倍額の300万円を超えた。「イノベーターの方々にいろんな知見を授けてもらいつつ、紆余曲折あって約1年かかった。最終的にはいいメーカーさんに巡り会って実現した」(泉水氏)とのことで、2015年11月に製品が完成、発売となった。2017年からは、Amazonやヨドバシカメラ、高島屋での販売も開始。「Amazonランキング大賞2017上半期」Launchpad部門では、1位を獲得するなど、好調に推移している。具体的な数値は非公開ながら、すでに数万単位の製品が市場に出ている模様だ。


《冨岡晶/HANJO HANJO編集部》

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