ロバート・デ・ニーロの“老人力”に学ぶ、高齢者雇用/HR EXPO 画像 ロバート・デ・ニーロの“老人力”に学ぶ、高齢者雇用/HR EXPO

人材

【記事のポイント】
▼高齢者の持っている“経験”に注目することが重要
▼経営サイドが口を出すよりも、現場に任せてしまうほうがよい
▼高齢者雇用のモデルケースを作ることができれば、世界に向けた大きなビジネスチャンスになる
▼映画『マイ・インターン』でのロバート・デ・ニーロの“老人力”を参考にせよ


 2017年7月26日~28日、東京ビッグサイトで開催された「総務・人事・経理ワールド2017」。総務・人事・経理部門向けの7つの専門展が同時開催となる展示会として、防災・セキュリティ、省エネ、人事支援、働き方改革支援、財務会計などの製品・サービスが一堂に会するイベントだ。本イベントでは750社もの企業が出展、また多数のセミナーが開催された。

 今回の記事では、イベントのうち「HR(人事労務・教育・採用)EXPO」で開催された、法政大学経営大学院 イノベーション・マネジメント研究科教授である藤村博之氏によるセミナー「安定経営とイノベーションのキーパーソン! 高齢者雇用は企業を強くする」の要約をお届けする。

■世界における日本の高齢化の特徴

 日本の高齢化の特徴として「労働力率の高さ」が挙げられる。ヨーロッパではできるだけ早い時期にリタイアし、年金生活に入りたいと望んでいる人が多いのに対し、日本人は労働意欲が高く、65歳以降も働きたいと思っている高齢者は実に71%にも及ぶという。主な理由としては健康維持と収入であり、特に健康維持は高齢者が就業する理由の20%を占めている。

 また日本はヨーロッパの各国に比べると高齢化のスピードが速い。高齢化率が7%から14%に上がるまでに要した年数を見てみると、フランスが126年、スウェーデンが85年、イギリスが47年かかっているのに対して日本は24年と非常に短期間で高齢化が進んでいることが分かる。今後は他の国も高齢化が進んでいくため、日本が高齢者雇用のモデルケースを作ることができれば大きなビジネスチャンスになる可能性がありそうだ。

 高齢者を雇用すると若者の雇用が奪われるのでは?という懸念もある。そのことについて藤村氏は「技術進歩の対応を迫られるような職場では両者は競合しない」と指摘。例として「SE40歳説」(システムエンジニアは40歳を超えると最新の技術についていけず仕事がなくなる、という説)を挙げた。たしかに古参のSEは新技術になかなか馴染めないものだが、いまだに古い技術(例えばプログラム言語のひとつであるCOBOL)を使っている企業は多い。そういった既存技術の保守メンテナンスに関していえば高齢者は若者よりも優れた技術を持っている場合がある。要するに適材適所ということだ。

■60歳以降の雇用の問題と対策

 今後少子化が進んでいくことを考えると、高齢者の雇用はこれからの日本経済を維持するためにも必須のものといえる。しかし、高齢者雇用にあたっては様々な問題があることも否めない。そのことについて藤村氏はいくつかの問題点と対策を挙げた。

 まず最初に「やってもらう仕事がない」ということ。これについては現場サイドからの発想が必要となる。例えば店長経験のある高齢者であれば、顧客からのクレームにも対応することが可能だろう。つまり高齢者の持っている“経験”に注目することが必要となる。

 次に「新しいものに対応できない」という点。これに関してはインターネットの普及等によって高齢者でも新技術に詳しい人が増えており、個人差があるため一概にはいえないだろう。むしろ「モチベーションが低い」という点のほうが問題だ。これまでと同じ仕事をしても給与が半分になってしまってはモチベーションの維持が難しい。これについては何もしないで家にいるよりも、外で働いている方が良いと考える状態に持っていくことが必要だといえる。また給与に関しては仕事ごとに賃金を定めたり、個別評価によるボーナスを支給することがモチベーション維持に有効だろう。

 このように高齢者雇用には様々な問題があるが、一貫していえるのが現場レベルで高齢者が活躍できる場を考えてもらう体制づくりが必要だということ。高齢者雇用については経営サイドがあれこれと口を出すよりも、現場に任せてしまったほうが良さそうだ。


《川口裕樹/HANJO HANJO編集部》

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