<シリーズ> 十年で6割超の市場を失った陶磁器産業 (課題編) 画像 <シリーズ> 十年で6割超の市場を失った陶磁器産業 (課題編)

インバウンド・地域活性

■課題4 「伝統工芸」と「工業製品」

 さて日本の陶磁器産業を遡上に挙げる際、業界からはよく「同じ陶磁器といっても伝統工芸と工業製品を一括りにして語ることはできない」という声を聴きます。とはいえ出口の見えないこの長きに渡る低迷を見るにつけ、それで問題は解決するのだろうかという疑問も沸きます。

 現在、日本のやきものの産地で「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づく伝統工芸品に指定されているのは31カ所。伝統的な工芸品の2009年度の生産量は1位繊維製品588億円、2位陶磁器213億円、3位漆器173億円の3つで974億円(76%)を占めます。

 伝統的工芸品産業振興協会によれば、伝統的工芸品産業の生産量はピークの1983(昭和58)年度には5,400億円でしたが、2009年度には4分の1以下の1,281億円へ減少、2012年度は1,040億円にまで落ち込みました。企業数もピークの1979年3万4千(従業員数28万8千人)から2009年度には1万5千件(従業員数7万9千人)へ、企業数は半分以下、従業員数は約4分の1に減少しています。

 伝統工芸とは伝産法の指定で「主要工程が手作業中心(手工業的)であること」、「100年以上の歴史をもつ伝統的な原材料を使用したもの」などの要件を満たすもの差しますが、この条件を純粋に満たす事業者が今産地にどれだけ存在するのか。若手作家も必ずしも伝統を担うものではありません(*表2)。

 近年は地域資源を活用した地域ブランドづくり、地域ならではの特産品や新たな観光開発が活発になり、国内市場が縮小する中、輸出やインバウンドなど海外市場にも活路を見出し、業界全体で攻めに出る取り組みも少なくありませんが、陶磁器産業だけはその埒外にあるようにも見えます。

 企画や販売を担う商社機能の弱体化もいわれていますが、サプライチェーンはどうなっているのか。モノからコトへのシフトが鮮明になる中、新たなビジネスモデルの構築も求められるところです。


●水津陽子(すいづようこ)
合同会社フォーティR&C代表・地域活性化・まちづくりコンサルタント。地域資源活かした地域ブランドづくりや観光振興など、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、執筆を行う。2014年地方創生法に関連し衆議院経済産業委員会に参考人出席。著書に『日本人だけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)などがある。


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《水津陽子》

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