バスツアーも「超豪華バス」の波。高速バスとの違いは? 画像 バスツアーも「超豪華バス」の波。高速バスとの違いは?

インバウンド・地域活性

「低価格」だけを売りにしたバスツアー企画は困難となったため、これまでの総花的なツアーは減少し、テーマ性の大きい行程や、車両の快適さを謳うツアーも増えてきたように感じられる。その象徴が、超豪華車両を利用する高級ツアーに、三越伊勢丹旅行など富裕層特化の旅行会社に加え、総合大手旅行会社もが注力し始めた点だと言える。事故が端緒となったのは残念ではあるが、また、格安商品の減少により市場が短期的には縮小するものの、ターゲットに合わせ「分化」し「深化」したツアーが増え始めたことは、バスツアー市場の将来においてプラスとなろう。

 少し残念なのは、そのような変化が始まってもなお、これらのツアーの主なターゲットが「団塊の世代」であることだ。我が国のバスツアー市場は、「団塊の世代」とともに年齢を重ねてきた。彼らが定年退職し、自由に使える時間とお金が今、最も大きくなっていることの表われが高級ツアーのブームなのだとしたら、バスツアー市場は次なる顧客と未だ出会えておらず、「団塊の世代」と心中しようとしているかのように見える。

 旅行者の成熟とともに個人旅行化が進展し、発地型のバスツアーから、クルマ旅行や着地型ツアーに転換する動き自体は止められないだろう。それでも、例えば寺社や美術館の貸切拝観・見学のように個人旅行では味わえない深い旅行体験を提供することができればさえ、クルマを自ら運転しない層を中心に、バスツアーは一定の存在を維持することができるはずだ。そのためにも、旅行会社が強い危機感を持ち、「団塊の次」のターゲットを早く見つけ出すことを期待している。

注)
関越道、軽井沢の両事故は、どちらも、厳密には、いわゆる「バスツアー」での事故ではない。前者は「高速ツアーバス」、後者は「スキーバス」。本稿が採りあげる、バスガイドが同乗し立ち寄り観光を行うバスツアーとは異なるが、募集型企画旅行として催行され貸切バスをチャーターするという形態は共通であり、貸切バスの新運賃・料金制度や、万一の際にバス事業者に加え旅行会社も責任が問われることが業界共通の認識となったことは、むしろ「バスツアー」のあり方に大きな影響を与えた。


●成定竜一(なりさだりゅういち)
高速バスマーケティング研究所株式会社代表。高級都市ホテルチェーンを退社後、06年に楽天バスサービス株式会社に入社。楽天トラベル「高速バス予約」サービスの事業責任者を経て、同社取締役に就任する。11年に退職すると、高速バスマーケティング研究所を設立。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員(10年度)、「国内観光の振興・国際観光の拡大に向けた高速バス・LCC等の利用促進協議会」(15年度~)などを歴任する。


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《成定竜一》

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