~社内コミュニケーションの秘訣~すべてはカンナがけから始まった/アキュラホーム 画像 ~社内コミュニケーションの秘訣~すべてはカンナがけから始まった/アキュラホーム

人材

 時代を生き抜く強い企業とは何でしょう? すばらしい商品やサービスはもちろんですが、そこにいたる会社のなかでの社員どうしのコミュニケーションが、本当はいちばん大切なのかもしれません。仲間と笑い合える会社が、今元気です。「小さい」「予算がない」「時間が足りない」といった悪条件を、彼らはどんな発想で乗り越えていったのか? 明るく楽しい会社やリーダーの活動から解き明かしていきます。第六回は、自由設計で建てる木造注文にこだわりを持つ住宅建設業「株式会社アキュラホーム」の宮沢俊哉社長について、総務人事部人事課長 池沢篤人さん、総務人事部人事課担当課長 篠原亜梨沙さんにお話を聞きました。


◆第六回 宮沢俊哉さん(57歳)◆
三代続いた大工の家系出身。1978年に修行先から独立し、1986年に注文建築専門会社を立ち上げた。1991年、現在のアキュラホームを設立。キッズデザイン賞、グッドデザイン賞等受賞多数。2016年には第1回ホワイト企業アワードで「CSR部門賞」「女性活躍部門賞」をダブル受賞するなど、“働き方改革”にも力を注いでいる。

■生業の根幹と企業ヴィジョンを体感し、思い起こさせる「カンナがけ」

 大工仕事の中でも、カンナがけというのは最も繊細で、修行を要する技術のひとつだ。まず、カンナがけのための道具を作り、用意する技術が難しい。カンナの刃を研ぎ、台や刃の出方を調整するなど、カンナがけそのものよりも準備の方が大切だと言われ、大工仕事の重要な習得技術のひとつだ。この「カンナがけ」を、新入社員の入社イベントで社長が実演し注目を集める企業がある。木造注文住宅建築にこだわるアキュラホームだ。

 アキュラホームは、宮沢社長が創業した木造注文住宅を手がける企業で、今年で創業39年を迎える。一代で1000人規模へ成長した企業だ。しかし元を辿れば、宮沢社長は三代続いた大工の家系。幼少期の遊び場は父親の作業場であり、身近にあった道具で残った材料でものを作るのが大好きな少年であったという。大工に憧れ、自然と大工になる道を選んだ宮沢社長は、中学を卒業後すぐに大工の修行に出た経歴を持つ。

「宮沢は、社員に『“匠”になって欲しい』という思いを持っているんですね。物作りの匠という意味だけではありません。例えば『広報の匠』『人事の匠』というように、『それぞれの立場、それぞれの分野でプロフェッショナルであれ』という願いなんです。その象徴としてのカンナがけでもあります」(池沢)

 入社式では社長自らによる実演に加え、社長から手ほどきを受けて新入社員たちも手を動かすという。普段接することのないカンナがけを通して、新入社員達は木の香りや手触り、自分たちの生業に関わる根幹を体験し、学生から社会人へ意識のスイッチを切り替える。既に10年程続いているこの入社イベントは、社長の目指すヴィジョンを、新鮮な驚きの中に五感で体験できる、印象深い機会と言えそうだ。

■社員の幸せが、お客様を幸せにする家づくりに繋がる

 創業38年のアキュラホームだが、会社が右肩上がりで業績を大きく上げてきたのはこの十数年だという。会社を大きくしてお客様を喜ばせることに邁進していた20数年。しかし「自分は何を大事にしてきたのか」とある時立ち止まり、「ものづくり」「品質」という価値に立ち返って考えるきっかけとなったのが「元大工」「カンナがけ」というキーワードだった。

 そして「社員を幸せにしないと、お客様を幸せに出来ない」と気づいたのも、この頃だったという。「お客様を大事にする」「豊かな暮らしを提案しよう」というヴィジョンを掲げ、自らが猛烈に働いてきた社長が、今後更に多くのお客様を喜ばせようとしたとき、社長のヴィジョンを実現してくれる「社員の幸せ」を支えなければならないという意識の変化があった。

「『お客様の住宅を作っている会社の社員が、毎日家に寝るだけの為に帰るという生活をしていたら、どうしてお客様に『このキッチンはこれがいいですよ』と提案できる?』ということは、社長がよく問いかけていることの一つ。社員の幸せな生活が実践できていることが、お客様への適切な提案にも繋がります」(池沢)

 このため、アキュラホームでは様々な制度が充実する方向へ舵が切られることになった。2017年には、一般財団法人日本次世代企業普及機構が主催する「ホワイト企業アワード」で、アキュラホームはホワイト制度部門大賞を受賞しており、社員の働きやすさを追求した多面的な各種制度が大きな評価を受けている。

「ノー残業デーを推進し始めたのは5年くらい前。社長自ら率先して『ノー残業デーだよ!』と社員に声をかけてまわったりし始めました。長期休暇など象徴的な制度の設定はありますが、消化率などの目標値は、実は無いんです。日々の仕事の仕方を整えていかないと、『働く』『休む』というバランスの多様性は確保できませんので、そこを愚直に改善しようとしています」(池沢)

《かのうよしこ/ライター》

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