ドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」骨太に描かれる若者の“労働観” 画像 ドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」骨太に描かれる若者の“労働観”

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 昨年、日本テレビ系で放送され話題となった連続ドラマ『ゆとりですがなにか』の続編、『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』の前編が7月2日に放送され、7月9日のよる10時30分から後編が放送される(オンライン動画配信サービスのHuluでは「前編」を配信中)。

 本作は、1987年生まれの坂間正和(岡田将生)たち、ゆとり第一世代の青年の姿を描いた社会派ドラマだ。脚本は連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)などで知られるクドカンこと宮藤官九郎。チーフ演出は『Mother』や『Woman』(ともに日本テレビ系)といった坂元裕二脚本の社会派ドラマで知られる水田伸生。

 二人は連続ドラマ『ぼくの魔法使い』(日本テレビ系)や映画『なくもんか』、『謝罪の王様』などのコメディ作品を多数手がけてきたが、今作は笑いを抑えたシリアスな作品(と言っても、笑える要素は盛りだくさんだが)となっており、宮藤初の社会派ドラマとなっている。

「ゆとり世代」とは、暗記力に偏った「詰め込み教育」から学習指導要領が改定され、完全週休5日制が実地された「生きる力」を重視する2002年からの「ゆとり教育」を受けて社会に出た青年たちのことだ。ゆとり第一世代の坂間は、上司からは「これだからゆとりは」と、厳しい目で見られる一方、自分たちより年下のゆとり世代には、頭を悩ませるという中間管理職的な立場にある。

 本作が面白かったのは、ゆとり第一世代の坂間と、上司にあたる年長者たち大人と若者の対立ではなく、入社2年目の山岸ひろむ(太賀)や、就活に悩む坂間の妹・ゆとり(島崎遥香)といったゆとり世代の最後尾にあたる若者世代との衝突を中心に描いたことだろう。

 中でも劇中で“ゆとりモンスター”と呼ばれる山岸の描写は壮絶だった。仕事のことで説教をしたら逆ギレしてLINEで退職届を出したかと思うと、会社をパワハラで訴えたりと、やりたい放題。そんな山岸と坂間がどう向き合い、お互いを理解していくのかが、本作の大きな見どころとなっていた。

 クドカンが脚本を書いているだけあって、会話劇は面白く、ゆとり世代やモンペ(モンスターペアレンツ)などといった言葉がクドカンらしい笑いに昇華されていて実に楽しかった。今回の新作ドラマでも「保育園落ちた、日本死ね」という昨年流行った言葉が面白い使われ方をしていた。その一方で人間ドラマも地に足のついた重厚なものに仕上がっており、テレビドラマの古典と言える山田太一の『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)を彷彿とさせる骨太の作品となっていた。

『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』(ともにTBS系)といった20代の若者たちを主人公にしたポップな群像劇を得意としてきた宮藤が、大人と若者の狭間で悩む青年たちの葛藤を正攻法で書ききったことには、作家としての成長を感じさせる。何より、近年のテレビドラマでは中々描かれることが少ない「若者にとっての『働く』とはどういうことか」が、しっかりと描かれていたのが、本作の素晴らしさだ。

『純米吟醸純情編』では、前作から一年後の姿が語られている。

 坂間は、食品メーカー・みんみんホールディングスを辞めて宮下茜(安藤サクラ)と結婚し、坂間酒造で兄夫婦を支えながら働いていた。しかし、造酒業は借金続き。そこに再開発計画でモノレールが開通し、通り道となっている坂間家の土地が3億5千万円で売却されるかもしれないという話が持ち上がったことで、坂間は窮地に立たされる。そんな中、茜は子どもを妊娠していたが、坂間には言えずにいた。

 坂間の友人で、小学校で働く山路一豊(松坂桃李)は、学年主任となったが親からのクレームを先輩の教師に伝えなければならないストレスに頭を悩ましていた。そして、大学に入学した道上まりぶ(柳楽優弥)は、山岸の元へOB訪問。相変わらずの大物ぶりを見せるまりぶは規格外だが、30歳になったゆとり第一世代が直面しているのは中間管理職の悩みである。新人の頃は自分自身の能力を磨くことだけに切磋琢磨すればよかった。坂間ならば食品メーカーの営業、山路なら、教師として「子どもたちに何を教えるのか」といった具合に。

《成馬零一/ドラマ評論家》

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