サービス業のIT利用最前線!6 チャットボットで現場情報を共有、効率化 画像 サービス業のIT利用最前線!6 チャットボットで現場情報を共有、効率化

IT業務効率

【記事のポイント】
▼山岳部の水道インフラの点検は発見から対応までの時間がかかる
▼情報共有にチャットアプリを利用して、正確性をアップしルーチンワークを簡略化する
▼カスタマイズや拡張は使いながら考える
▼大がかりなシステムより現場の抵抗感がないシステムがIT活用のポイント。ただし、インフラを扱うのでセキュリティは重要


 インバウンド需要の拡大、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックといった要因から、「おもてなし」がキーワードとして注目されている。さらに、IT/IoTを活用したサービスや製品が、飲食業・旅行業・物販業をはじめ様々な領域で、多数登場しつつある。本連載はそうした最新事例を紹介し、自社での導入の参考とする内容だ。今回は、水道インフラの管理を行う「箱根水道パートナーズ」に焦点をあてる。


■山間部の水道インフラ管理の課題

 水道事業に指定管理制度を利用して民間企業やJVに委託する自治体は少なくない。箱根町北部の水道インフラは、県の委託を請け箱根水道パートナーズという会社が管理を行っている。山間部だが日本有数の観光地でもある箱根において、水道水の安定供給、安全確保は重い仕事でもある。

 その重要な業務のひとつに地域にはりめぐらされている水道管の管理がある。都市部のように共同溝が整備されているわけでもなく、山間部に敷設された水道管や設備も対象となる。作業員やパトロールが異常を見つけると、電話等で事務所に連絡し、エンジニアや工事業者が現場に派遣されて対応にあたる。

 しかし、電話だけだと、現場の状況がうまく伝わらないこともある。デジカメなどで写真を撮影しても、その映像が事務所に届かなければ、どんな装備で出動すればいいのかもままならない。他にも、正確な現場の位置、修理方針や対応方法の決定など決めなければならないことは多い。いずれにせよ、発見から対応までの時間が大きな課題だった。

■迅速な情報共有が可能なツールはなにか

 箱根水道パートナーズ 箱根水道センター所長 赤城誠氏は、漏水箇所の発見からの作業について、「もっと効率化できないか、情報共有のいいツールなないか」と、常に考えていたという。システム化にあたってのポイントは、まず写真や動画の共有が可能なこと。通信が1対1ではなくグループや一斉通信などマルチユーザー対応であることだった。

 複雑な地形かつ広範囲にわたる漏水対応業務は、箱根水道パートナーズだけでなく、契約している地元業者と協力して行っている。システムは全員が使えないと意味がないので、セキュリティ対策も重要になる。また、災害時や大きな事故では、情報が錯そうすることもあるので全員が同時に情報を共有できる機能も必要だった。

 当初は「自社で専用のシステムを構築してもらわなければダメか(同センター 副所長 福井優志氏)」とも考えていたが、親会社であるJFEエンジニアリングが「InCircle」というチャットツールを使っていた関係で、これを利用する方向になったという。

■InCircleにできること・カスタマイズした点

 では、実際にInCircleではどんなことができ、箱根水道パートナーズではどのように使っているのだろうか。

 InCircleはテキストによるメッセージ交換や画像(動画を含む)ファイルの送信ができるスマートフォン用のコミュニケーションアプリだ。LINEのチャット、メッセージ交換を想像すればいい。もちろん個別の連絡やグループ内の連絡、全体の連絡なども可能だ。クラウド側では、メッセージやデータの共有以外に、チャットボットによる自動応答といった機能も提供している。

 箱根水道パートナーズでは、これらの機能を活用し、まず漏水箇所を発見したら、現場の写真や動画をスマートフォンで撮影しチャットボットを起動する。チャットボットは送られてきた画像や位置情報から、位置情報の緯度経度、住所、地図データなどを生成し投稿する。

 事務所では現場の第一報投稿とチャットボットによる詳細情報により、ほぼリアルタイムで現場の状況が把握できる。現場に向かうエンジニアや作業員は、事前に対応方針を立てたうえで、必要な装備で作業車を現場に急行させることができる。

 ボットの機能は拡張できたので、開発元には自社向けのサービスをカスタマイズで作ってもらった。位置情報が送られてきたとき、同社が水道管や設備の管理に使っている地図台帳(管網図)のメッシュ番号とブロックの位置を示した図の投稿も自動的に生成するようにしたそうだ。

 これにより、住所や地図情報だけでなく管網図での位置(メッシュ番号)も把握できるようにした。この情報があれば、どんな水道管をつかっているのか、どんな資材・部材が必要なのかがわかるので、修理方針や対応方法の戦略がより正確に立てられる。

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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