現場の熱中症対策ー初の官民合同予防キャンペーン展開/7月を重点期間に 画像 現場の熱中症対策ー初の官民合同予防キャンペーン展開/7月を重点期間に

制度・ビジネスチャンス

 建設現場で働く人の熱中症災害が一年で最も発生しやすくなる本格的な夏を迎える。厚生労働省は、初めてとなる官民合同の予防推進キャンペーンを9月まで展開。7月を重点月間と位置付ける。国土交通省や建設各社も相次ぎ対策を強化している。熱中症の怖さは近年、広く浸透してきたが、職場での死傷者はあまり減っていない。今夏も例年以上の予防徹底が求められる。
 厚労省が6月にまとめた2016年(1~12月)の職場での熱中症死傷者数を見ると、建設業就業者は前年と同じ113人で、業種別では全産業(462人)中最多、ほぼ4分の1を占める。
 死亡者は建設業の7人を含め全産業で12人。要因はさまざまだが、死亡につながった熱中症の発生場所ではいずれも、環境省が推奨している熱中症へのかかりやすさを数値化した暑さ指標「WBGT」の測定が行われていなかったことが分かっている。
 気象庁が23日に発表した7~9月の3カ月予報によると、今夏は全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温が高くなる見通しだ。
 厚労省は例年、夏前に屋外作業が多く熱中症が発生しやすい建設業などを対象に予防の徹底を要請してきた。今年からは、これを国民運動のように根付かせようと、関係するすべての業界や省庁を巻き込み、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を5月に始めた。今後9月まで展開する。
 キャンペーンには3月、同省労働基準局安全衛生部長名で建設業労働災害防止協会(建災防)や日本建設業連合会(日建連)など関係する全産業の各団体に参加を要請した。WBGT測定器の設置や、休憩時間の確保、定期的な水分や塩分の摂取などの取り組みを徹底してもらう。国交省と農林水産省が後援する。
 キャンペーンでは、7月を予防徹底に特に力を入れる重点月間と位置付けている。厚労省によると、近年の死亡災害は気温が急に高くなる7月下旬から8月上旬にかけて、蒸し暑い環境に慣れないうちに発生したケースが多い。これに加えて、厚労省は「お盆休み明けの8月下旬も要注意」(労働基準局安全衛生部労働衛生課)と警鐘を鳴らす。
 国交省や建設各社による対策強化の動きも相次いでいる。
 国交省は今年、土木工事の安全施工技術指針を8年ぶりに見直し、熱中症対策として高温多湿な作業環境下で必要になる措置を追加した。17年度の土木工事費の積算基準には、安全対策経費の計上項目として熱中症対策を明記した。
 全国で労災防止活動を推進する7月1~7日の「全国安全週間」を前に、6月に集中して開かれた建設各社の安全大会では、厚労省からキャンペーンの通達があったことに触れつつ、各現場で熱中症予防の徹底を求める幹部の呼び掛けが目立った。
 熱中症対策に最新技術を取り入れる企業も増えてきた。大林組は7月から、IoT(モノのインターネット)を活用した作業員の安全管理システムのサービス提供を開始。心拍数などを目安に体調の変化を把握して作業員本人や現場管理者に知らせる。
 業務用安全衛生用品の製造販売を手掛けるミドリ安全は3月、熱中症対策でロングセラーの「塩熱飴」をリニューアル発売。汗で失われた後に補給する電解質を従来の4種から6種に増強した。
 □7~9月、全国的に高温予想□
 気象庁によると、7~9月は太平洋西部やインド洋北部の赤道域の海面水温が平年より高くなる見込みだ。その影響で、日本列島は晴天をもたらす太平洋高気圧やチベット高気圧に覆われやすく、最も暑くなる8月は東日本、西日本、沖縄・奄美で晴れの日が平年より多くなるとみられている。
 7~9月の平均気温も、北日本、東日本、西日本がそれぞれ50%、沖縄・奄美が60%の確率で平年より高くなると予想している。
《日刊建設工業新聞》

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