ムラサキウニ、キャベツで養殖したところ、高級食材に! 画像 ムラサキウニ、キャベツで養殖したところ、高級食材に!

インバウンド・地域活性

 流通しない規格外のキャベツが救世主に――。海藻を食い荒らす海の厄介者として駆除されるムラサキウニを、地元特産のキャベツで養殖して特産化するプロジェクトが進んでいる。神奈川県水産技術センター(三浦市)が甘味のある良質なウニに変身させることに成功した。出荷できない規格外品が使え、地元農家にとっても朗報だ。
甘味も うま味も
 同県の三浦半島西岸では10年前から海藻が減る「磯焼け」で、サザエやアワビが減るなどの問題が発生していた。一因として挙げられたのがムラサキウニの大量繁殖。同センターでは「地球温暖化による海水温の上昇で、冬場も海水温が下がらず、ムラサキウニが生息しやすい環境になったため」とみる。

 食用ウニはバフンウニが主流。天然のムラサキウニは身の部分である生殖巣が育たないことから食べられず、「漁獲対象でなく、駆除するしかなかった」(同センター)。

 「生態系に悪影響を与えるムラサキウニを何とかしなければ」と考えていた同センターの主任研究員、臼井一茂さん(48)が2年前、周辺で捕ったムラサキウニを育て始めた。先輩のウニ専門家が「ウニは何でも食べる」と話していたのがヒントになった。水槽で、パンの耳やマグロの切れ端などを与えてみた。

 特に好んで食べたのはキャベツ。ダイコンなどは表面の硬い部分しかかじらなかったが、キャベツは1玉を、80匹のムラサキウニがたった3日でほぼ食べ切ったという。

 キャベツを与えた結果、ムラサキウニの身が充実。成分検査では甘味やうま味の成分が多く、食用に流通するキタムラサキウニと同等の成分構成だった。食味試験でも食用として通用すると判断した。
外葉や規格外活用 三浦の農家 「歓迎」「期待」
 三浦半島は、キャベツの大産地。三浦市農協とJAよこすか葉山の共販推進組織「特産・三浦野菜生産販売連合」は今年5月末までに、342万ケース(1ケース約10キロ)を出荷した。柔らかく甘いのが特徴だ。

 しかし、出荷されない割れたキャベツや外葉は捨てるか、畑にすき込んで緑肥にするしか処理方法がなかった。

 今回、県農業技術センター三浦半島地区事務所が週1回、規格外のキャベツや外葉など計30キロを提供した。同事務所主任研究員の太田和宏さんは「捨てるものが新たな特産作りにつながり、地域振興に役立つのは良いこと」と期待する。三浦市農協も「規格外や廃棄される春キャベツを使って、ムラサキウニをおいしい食材として商品化するのに役に立てる」(営農課)と、取り組みを歓迎する。

 今後の実証実験では、うま味成分のあるグルタミン酸を含むブロッコリーの利用も検討。どのタイミングで与えるべきか、研究を進める方針だ。他の野菜や海藻を与えたときに、どう食感が変化するのかも調べる。

 センターでは、三浦市内で28日にムラサキウニの試食会を行う。臼井さんは「養殖したウニは甘さが強いので、スイーツなどにも使えると考える。今後は、地元の三崎のマグロなどと組み合わせて、オール三浦産の料理を生み出したい」と展望する。(中村元則)

ムラサキウニ 高級食材に 厄介者返上 大好物キャベツで養殖 神奈川県水産センター

《日本農業新聞》

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