所有者不明土地が全国に410万ha、九州を上回る面積、驚き広がる 画像 所有者不明土地が全国に410万ha、九州を上回る面積、驚き広がる

制度・ビジネスチャンス

 所有者不明土地問題研究会(座長=増田寛也東大客員教授、野村総合研究所顧問)は26日、1月から議論を重ねてきた成果の中間整理を発表した。研究会の推計では、全国2億30百万筆の土地のうち、所有者不明率は20・3%。面積で九州(368万ヘクタール)を上回る約410万ヘクタールに達している。増田座長は、10~15年後の多死社会・大量相続時代を控え、相続の連鎖で拡大する所有者不明土地問題の解決が喫緊の課題になると警鐘を鳴らした。
 研究会は、学識経験者、専門家(関係士業)、関係自治体などで構成。オブザーバーとして、全国市長会事務局、総務省、法務省、農林水産省、林野庁、国土交通省が参加。事務局は、国土計画協会、不動産適正取引推進機構、野村総研などが務めている。
 昭和初期に所有者が五十数人だった共有地が、相続を繰り返して所有者が700人にも膨れ上がった土地があったり、東日本大震災の被災地で行われた高台移転事業で土地取得が難航したりするなど、さまざまな分野で所有者不明土地問題に直面している。行政機関が買収を予定している土地で所有者住所の記載がなく、道路整備などを進める上で支障になっているという自治体の声もある。こうした声に応えて研究会は議論を重ねてきた。
 所有者不明土地の量は、国交省の地籍調査や法務省の相続登記未了土地調査などを参考に検討。最後の登記から長い年月を経ているほど不明率が高く、50~69年で62%、70~89年で79%、90年以上で80%に達していることが分かった。地籍調査を活用して研究会が推計した全国の所有者不明率20・3%の内訳は、宅地が14・0%、農地が18・5%、林地が25・7%。増田座長は「非常に多い。国土の中で所有者不明土地が広がっていることに驚いた」と述べた。
 地方から大都市や海外への人口移動に伴う不在地主の増加や登記の必要性の認識が欠如していることなどが所有者不明土地問題の背景にあるとされる。このため研究会では、各種台帳間の連携やマイナンバーの活用などによって、所有者の探索の円滑化を図ることに加え、不明土地の管理・利活用、増加防止、土地所有のあり方の見直しという観点から議論を深めるべきだと提言している。
 この問題では、政府も次期通常国会で法整備を行う方針を示している。研究会は今後、こうした動きもにらみながら、相続未登記の将来推計を踏まえた施策の検討を重ね、秋にも結論を取りまとめる。

所有者不明土地/全国に410万ha、九州上回る面積/増田研究会が中間整理

《日刊建設工業新聞》

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