CSRの時代的要請に企業はどう応えればいいのか? 画像 CSRの時代的要請に企業はどう応えればいいのか?

インバウンド・地域活性

 近年、企業経営にとってCSR(Corporate Social Responsibility)=「企業の社会的責任」が重みを増している。これまでの「企業の余剰金を社会的に還元する活動」という枠組みを超え、自らの事業活動を通じて社会の抱える課題を解決するという考え方に変わりつつあるCSR。「コンサルティングサービスを通じて、クライアントに新たな成功をもたらし、持続可能な社会の実現に貢献」することをCSR方針に掲げる、アビームコンサルティングの執行役員でCSRユニット長の矢野陽一朗氏に、企業にとってCSRが必要とされる背景やその意味を聞く。

■日本には以前から根付いていた「社会貢献的経営」

――CSRがいま、企業経営にとって意味を持っている、クローズアップされているのはなぜなのでしょうか?

矢野 CSRという英語だと新しい考え方と思われがちですが、実は日本ではCSRという言葉ができるずっと以前から経営の中に組み込まれていたんです。「世の中に対して貢献をすること」「倫理的に間違ったことをやらない」といった“道徳心”とでも言うべき心得は、日本では江戸時代の頃からずっと根付いていたのじゃないかと思います。例えば「三方良し」では、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」を説いています。売り手と買い手の満足だけでなく、社会貢献もできるのがよい商売であるということですね。こういった格言は様々な企業で現代にも受け継がれています。

ただ日本の企業は表現の仕方や情報発信の仕方があまり上手ではなくて、なかなか外部に伝わってこなかったきらいがあります。十分な社会貢献はしているのだけれど、それが国際的NGOから見たときに認識されるものであるのか、あるいは活動に対して第三者機関が出している基準や認証などに対応できているのかということが分かりづらい。それを改めて整理し直すという流れの中でCSRという言葉が注目されるようになってきたのだと思います。

――以前は事業活動の外で剰余金を社会に還元することが代表的なCSRの事例とされていました。現在では地方創生への協力も含まれるようになっていますね。

矢野 東日本大震災がひとつの契機となったのではないでしょうか。当初は復興という観点からボランティアや募金などの活動をされていた企業が、復興の過程においてさらにその先を見据えたときに地方創生という視点が生まれたのだと思います。日本の各地で事業を興すという取り組みは、CSR活動の中で様々な方法が考えられます。

■中小企業にとってのCSRとは?

――「CSRは大企業が行うもの」という意識の方もまだまだ多いようです。中小企業にとってCSRはどんな意味を持っているのでしょうか?

矢野 CSRを一歩進めた考え方に、CSV(Creating Shared Value)=「共通価値の創造」があります。企業の事業活動の中に社会課題に対する取り組みを織り込むことで、利益を追求しつつ社会課題も解決していく発想です。CSVの観点で企業活動を捉え直すと、世の中のすべての企業は何らかの形で社会課題の解決に役立っているわけです。つまり事業規模の大小はあまり関係ないのです。

――中小企業の経営者が、CSRやCSVに取り組むきっかけはどんなところにあるのでしょう?

矢野 例えば地元の商工会議所や行政主催のセミナーなどに足を運んで、横のつながりを作ることから始めてみてはいかがでしょうか。そのなかでいろいろな話をしているうちに、その地域でどんな課題があるのか、自分の会社ならではの地域貢献の仕方があるのではないか、ということが見えてくるはずです。

《HANJO HANJO編集部》

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