ドラマ「架空OL日記」を見て、OLの日常をしみじみ味わう 画像 ドラマ「架空OL日記」を見て、OLの日常をしみじみ味わう

人材

「会社のOLが何を考えているのか、イマイチよくわからないんだよね」ーーそんな悩みを抱えている管理職の男性に是非見てほしいのが、ドラマ『架空OL日記』だ。本作は、お笑い芸人のバカリズム(升野英知)が原作・脚本を手がける連続ドラマだ。

 原作はバカリズムが三年もの間、OLのふりをして書いていたというBLOG。バカリズム自身も升野として登場し、銀行で働くOLの日常を切り取った作品だ。

 こう書くと、一見茶化したコメディかと思うかもしれないが、ドラマのトーンはシリアスでOLの仕事と日常がすさまじく丁寧に描かれている。升野がほかの女性社員と同じ制服を身につけ、完全に女子として扱われていることに少し違和感があるが、この一点があることによって、ただならぬ雰囲気のドラマとなっている。

 しかし、本作が凄いのは、升野の“なりきり”がだんだん気にならなくなっていくことだ。次回で最終回なのだが、今では升野のことを普通の女性として見ており、気づいたらOLのリアルな日常ドラマとして毎週楽しみになっているのだ。

 主な登場人物は、
 バカリズムが演じるOLの升野。
 升野の同期で親友の真紀ちゃん(夏帆)。
 頼れる先輩の小峰様(臼田あさ美)。
 後輩の天然妹キャラ・紗英ちゃん(佐藤玲)。
 OLたちのまとめ役的存在で、入社10年目の酒木さん(山田真歩)。

 彼女たちは程よく仲が良いのだが、ほんのちょっとだけ、お互いの変なトコを意識している。そこに升野が心の中で軽いツッコミを入れるという、ショートエピソードの積み重ねで物語は構成されている。

 本作には恋愛や犯罪といった大きな出来事は起こらないし、働く女性の生き方を声高に叫ぶような熱いメッセージもない。描かれるのは会社の帰りに、みんなでおいしい料理を食べにいったことや、紗英ちゃんから借りた漫画は面白かったけど20冊あって持ち帰るには重かった、といった些細なことだ。

 職場の描写も、お客様にお茶を入れようとしたら茶葉が切れていて、予備も補充されてないから犯人捜しをしたら、途中で犯人は自分だったと気づく話や、更衣室に紗英ちゃんがグミを置きっぱなしにしていたらネズミが出たから、今後はお菓子の持ち込み禁止になった話。

 他には、いっしょにジムに通っている真紀ちゃんがいつの間にか本格的に鍛え出していてインストラクターと間違えられる話とか。寝る前にLINEに送られてきたスタンプが微妙とか。

 ひとつひとつのエピソードは、本当にどうでもいいことばかりで、だからこそOLが書いているBLOGを読んでいるような味わいがある。冷静に考えるとこれがどうして面白いのかわからないのだが、余計な味付けがないからこそいつまでも見ていられるのが本作の不思議なところである。

《成馬零一/ドラマ評論家》

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