サービス産業の「生産性向上」はいかにして達成できるのか?:4 画像 サービス産業の「生産性向上」はいかにして達成できるのか?:4

IT業務効率

★日々の改善をやり続けていくこと、それが成果につながっていく

 2年前に安倍総理が述べた『サービス業の生産性革命』具現化を目標に、観光庁が2016年度に実施した「宿泊業の生産性向上推進事業」。ワークショップを全国で開催し宿泊業経営者自身が生産性向上に取り組み、またモデル旅館ホテルへコンサルティングを行うことで、生産性向上の成功事例を約100件創出した。

 生産性向上を目標としたワークショップでは、事業者自らが課題を発見し、現場を巻き込んで改善を実施。連載第3回では、人材不足を補うための改善にフォーカスし、本事業の中心的役割を担った公益財団法人日本生産性本部 主席経営コンサルタントの鈴木康雄氏と熊木登氏に話を聞いた。最終回はIT機器の導入や作業効率などに焦点をあてた改善の取り組みを中心に、今後の展望について語ってもらう。

■機械、IT、IoT導入による効率化も人手不足解消のため

 ホテル・旅館などの宿泊業では「何でも人がやる」「人手をかけることがお客様の満足につながる」という考え方が当たり前に捉えられているところがあるという。しかし目の前の人手不足を解消するためには、お客様の対応など、人だからこそできることと、バックヤード作業など、必ずしも人がやらなくてもいい作業を切り分け、顧客満足につながることに割く時間を増やしていくことが望ましい。しかし「機械化」「IT化」は、どの業界でも検討、導入している効率アップの手法ではあるものの、宿泊業では導入に躊躇する経営者が多いという。

鈴木 「導入に躊躇する理由は、そのシステムや機器を活用するメリットを良く認識できていないからです。目的がはっきりと認識されており、適切にシステムや機器が導入され、その利用方法、活用方法が適切に教育されることで現場での効率は必ず向上します」

熊木 「サービス業のIT導入に際しての問題として、現状行っているサービス内容が標準化できておらず、各人によってバラツキが大きいという点が挙げられます。この属人的な業務のやり方から脱却することが、IT導入の前提条件となります」

 機械やシステムの導入と聞くと高コストなものをイメージしてしまうが、古くなった機器の代替を適切なものに置き換えたり、一般的に利用されているソフトウェアを導入することで効率化することは沢山ある。事例集では、機械の導入例として、清掃時間短縮の為に掃除機の種類をコード型から背負い型に変更した例が挙げられている。またソフトウェア利用事例としては、館内連絡に電話利用を辞めタブレットを導入、LINE(コミュニケーションアプリ)へ変更した事例、またベテラン社員が手書きで作成していた日々の宿泊日報作成にエクセルを導入し、複雑な変更も数分で出来るようになった事例など、導入しやすい事例が取り上げられている。

 またホテル・旅館は設備業的側面が大きいことから、インフラに注目して改善した事例もあり、そこではIoTの活用が鍵となっている。社員エレベーターの横に大きなモニター画面を導入し、誰もが在館客数と、水、湯、電気、油、ガスの使用量、その他、浴槽温度、源泉温度などを一目で分かるようにした事例では、現場の人間それぞれが瞬時にムダを見つけることが出来、改善の工夫をすることができるようになり、工夫の結果も見える化された。これによって単月の対前年比の電気油ガス合計のエネルギー量で20%の削減となるという改善結果もさることながら、この見える化により現場からの声が上がりやすくなったことは、今後の改善に続く効果として注目したい。

《かのうよしこ/ライター》

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