事業承継の2017年問題:2 経営改善に取り組むのが先決 画像 事業承継の2017年問題:2 経営改善に取り組むのが先決

人材

■事業承継の前に、軽い経営改善相談から始めるのも大切

ーー地方銀行など地域金融機関が、中小企業への融資をしないことが指摘されています。

中嶋 事業の中身ではなく、連帯保証人設定や担保を優先させるため、あまり積極的ではありません。金融庁は地域の金融機関に対して、過度の保証や担保に頼らず、事業性評価をしっかりと行い、本来の金融機関の目的である企業融資に力を入れるべきだとの指導を強くしています。そのせいもあってか、最近「板橋モデル」を勉強するために私のところに来る金融機関も増えています。

事業承継で相談を受けると、私は常々こう言うんです。「もし息子さんが会社を継ぐ場合は連帯保証人にするな」と。普通、若社長は連帯保証人になるものですが、やらなくていいよと。そうでもしないと事業承継に踏み出せない。

ーーそれで金を貸す側は大丈夫なんですか?

中嶋 先代社長が保証人でいるから問題ないんです。私も強く金融機関にそのことを伝えます。これまでは自宅をかっちり担保にすることで金融機関はノーリスク、それ以外を信用保証協会に投げていました。信用保証協会に過度に頼りすぎていたんですね。しかしその信用保証協会も苦しくなってきた。ですから金融庁も「金融機関は直接関与せよ」「リスクをとりなさい」という姿勢を取り始めたというわけです。私は正論だと思っています。とは言っても、ダメな企業にはお金は貸せない。だから経営改善をしっかりやって計画を立てていい会社に立て直しましょう、と言い続けているのです。

いま経営不振な会社に対して退場論があるが、とんでもない。倒産したら、貸し倒れをはじめ、負の連鎖が発生します。税金もすごいことになります。消費税も厚生年金も支払っているわけですから、もし会社が破綻したら、税収が激減してしまいます。全国で困っている会社はおそらく4~50万社あります。そこを助けていかないと皆に波及します。地域貢献という意味でもそうです。もし取引先に経営不振会社を見つけたら、積極的に経営改善をアドバイスしたり、国が全国に設置する経営相談所「よろず支援拠点」などを勧めてほしいですね。

いま、70パーセントの企業が法人税を払えていません。「生産性向上など具体的に目標を設定して、100万円でもいいから税金を払ってもらえるようにしましょう」と中小企業庁にも説明しているんです。全国の支援機関が協力しあう体制構築とレベルアップも大切だとも言っています。

事業承継のためには、軽い経営改善相談から始めるのも大切です。今回、中小企業庁の施策で「早期経営改善計画策定支援事業」が始まりました。企業と経営者の経営課題抽出と改善策を作り上げていく支援です。その中に事業承継問題があれば関係機関に紹介したりするネットワークの構築が事業承継問題の解決につながるのだと思います。


width=

★毎週月曜発行★
編集部オススメ記事をピックアップ!
HANJO HANJO メールマガジン登録はこちら
《加藤陽之/HANJO HANJO編集部》

編集部おすすめの記事

特集

人材 アクセスランキング

  1. 建設キャリアアップシステム、誰のためのものなのか?

    建設キャリアアップシステム、誰のためのものなのか?

  2. スマホでいつでもどこでもできる「U・Iターン」とは?

    スマホでいつでもどこでもできる「U・Iターン」とは?

  3. カリスマ社長の奥様、会ってみたいその魅力!/Vol.1嶋田奈生子さん(東京 島田商店)

    カリスマ社長の奥様、会ってみたいその魅力!/Vol.1嶋田奈生子さん(東京 島田商店)

  4. 上場企業の社長の報酬はいくら? 東証一部企業の平均は…

  5. ゼネコン大手5社、下請け業者の社保加入促進に本腰

  6. 旅館業の人材不足をどう解決すればいいのか?/第2回 働き方改革「10のキーワード」

  7. 国交省が4月から社保未加入の2次以下下請も排除、指導の猶予期間設定

  8. ホッピービバレッジ三代目社長が語る「事業承継と人材育成」/町工場見本市

  9. 旅館業の人材不足をどう解決すればいいのか?(第1回 状況編)

  10. 建設コンサル大手14社/18年春採用は新卒、中途とも横ばい/19年春は9社が増員

アクセスランキングをもっと見る

page top