事業承継の2017年問題:2 経営改善に取り組むのが先決 画像 事業承継の2017年問題:2 経営改善に取り組むのが先決

人材

【記事のポイント】
▼事業承継を考える前に、経営改善に取り組むことが先決
▼全国にある「よろず支援拠点」などが経営相談に乗ってくれる
▼経営不振な会社の退場論は貸し倒れほかの負の連鎖をうみかねない


【事業承継の2017年問題:2】
板橋区立企業活性化センター長 中嶋修さんに聞く

 中小企業経営者の最大の悩みのひとつ「事業承継」。団塊世代が70歳を迎え引退する2017年はそれを象徴する年と言われている。ある調査によると、60歳以上の経営者の50%が廃業を予定しているという。つまりあと10年しないうちに日本の企業の1/4が廃業することになるのだ。日本の中小企業の継続性を考える時、本当に必要な対応策は何なのか? さらにその展望はどこにあるのか? 事業承継の問題を解決するには何が必要なのかを、中小企業再生の手本となる「板橋モデル」を確立し、現場の声に耳を傾け続けてきた、板橋区立企業活性化センター長の中嶋修さんに話を聞く。

■事業承継以前に考えるべきことがある

ーー中嶋さんは長年、経営不振にあえぐ中小企業の相談相手として、幾人もの経営者をみてきています。その立場から事業承継を取り巻く現在の状況をどうとらえていますか?

中嶋 板橋区立企業活性化センターは、経営難に陥った企業を救済するために発足したチームです。いまメディアでは「事業承継は経営者の高齢化のために行われていない」という論調ですが、現実は違います。事業承継以前の問題として、商売が立ち行かなくなっているんです。後継者がいない、経営者が高齢化している、借入金が多いなど、複数の問題点がありますが、要は経営の将来が見通せないんです。そんな状況におかれたなかで、事業承継がうまくいっていないんですね。

中小企業のうち30パーセントの会社は優良企業です。そして30パーセントはいつつぶれてもおかしくないような経営不振企業です。残りの40パーセントはどちらにも転ぶ可能性がある企業と言えます。資産超過で利益を出している会社はそんなに悩む必要はないので、事業承継ができるはずなんですよ。たとえばいまいる社員でもいいし、娘さんの旦那さんや親戚という選択肢もありますよね。問題は30パーセントの経営不振企業の事業承継をどうするかです。

ーー中嶋さんに相談にくるのはどんな悩みを抱える企業ですか?

中嶋 相談のうち結果的に60パーセントの企業は事業承継が絡んでいます。事業承継を終えた2代目3代目の悩み相談をいれると、8割以上ですね。先代社長のときは右肩上がりでよかったんだけど、いま時代はそんなに甘くない。事業承継前後の相談に乗るのも板橋区立企業活性化センターの役割のひとつです。このところ、事業承継に関して様々な支援機関ができていますが、経営内容が良い企業に偏る傾向があるのではと感じています。

ーー問題は事業承継なのか他にあるのか、相談する当事者自身がわかっていない?

中嶋 「相談が集まる場所」と私は言っているんですが、それがいま一番必要なんです。問題を限定すると訪ねづらくなる。われわれは前さばき業務としてヒアリングをして、課題をみつける。このなかに事業承継問題は必ずあるんですよ。そのなかで経営改善のための役割分担をしっかり見定めないといけないんです。活性化センターだけだと限界があるので、チームで経営改善作業を行います。

《加藤陽之/HANJO HANJO編集部》

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