サービス業のIT利用最前線!3 手元のスマホを“高機能・多言語メニュー”に 画像 サービス業のIT利用最前線!3 手元のスマホを“高機能・多言語メニュー”に

IT業務効率

 また顧客満足度向上のために、アンケート機能も用意されている。アンケート機能は、来店客による評価を注文伝票に印刷する機能だ。来店客には、利用の翌日にデジタルアンケートの通知が届く。ここでは、料理や価格の評価に加え、自由にコメントを記載できる。ここでの評価内容は、次回のオーダー時に、一緒にプリントされる。「“料理は美味しかったけど、店内が寒かった”“すごく待たされた”など、その客と初めて接するスタッフであっても、伝票を見るだけで、前回お客さまがどういう感想を持ったか、なにか不満点などがなかったかなどを、手軽に確認できる」(瀧野瀬氏)という。これも口頭のオーダー方法だと、なかなか出来ない部分だ。なお、数値情報は蓄積され、さらに統合的なデータとして、複数の客が「いつ」「何を」注文し、どういう「評価」だったか、ビッグデータ分析を行うことも可能だ。

 こうしたサービスのうち、注文機能、呼び鈴機能、アンケート機能などは有料だが、多言語メニューやアレルギー情報といった情報の掲載は、無料で利用できる。

■ビーコン活用により“使えるデジタルメニュー”を実現

 これらの機能のうち、メニューの表示だけなら、単体アプリやWebブラウザでも実現できそうだが、ビーコンを活用することで、席の区別などをスマートに行っているのが、「Putmenu」の特徴だ。これには同社の関連企業であるタグキャストが、帝人などと共同開発したIoTデバイス「PaperBeacon」(ペーパービーコン)を活用しているという。

 PaperBeaconはA4用紙サイズのシートで、ここにスマホを置くことでBluetooth通信が行われ、テーブルを特定した注文が行える。シートは電池を内蔵しておりワイヤレスとなっているため、すべての席に常時配置するのでなく、「外国人観光客が来たら、テーブルにシートを持っていく」といった、柔軟かつ小規模な運用ができるのも利点となっている。既存のオペレーションを変えずに、インバウンド対策が実現できるわけだ。

 多言語対応・オーダー管理・顧客管理という「Putmenu」のシステムを構築しているのは、スマホアプリ、小型専用プリンタ、PaperBeaconの3要素だ。企画開発のきっかけは、2015年5月にPaperBeaconを発表したこと。ここでアイデアが生まれ、2016年1月に試験運用を開始した。2020年の東京オリンピックに向け訪日観光客が増加する一方、飲食店・ホテル・旅館の対応が不十分で、多くの不満がある状況だった。そこで、訪日観光客の言語の不満を安価に解決できるソリューションとしてPutmenuを開発したという。

 Putmenuは、Microsoft Innovation Award 2016でファイナリストを受賞したほか、2016年9月には、(公財)東京都中小企業振興公社の事業可能性評価委員会でも評価された。とくに、Microsoftのサティア・ナデラCEOは、「PutmenuはIoTを活かした魅力的なソリューションであり、すべてのレストランに提案できる」という感想を寄せた(2016年5月「de:code 2016」での基調講演より)。

 従来の製品、他社製品ととくに違う点としては、専用のタブレットではなく、ユーザー自身のスマホをメニューとして活用する「BYOD」(Bring Your Own Device)である点。これにより、使いやすさを感じさせるとともに、専用タブレット導入などを不要とし、コストを抑えることに成功した。またメニュー専用のアプリではなく、「飲食店の紹介・検索アプリ」という立ち位置も確保している。

 また専用タブレットではなく、ユーザー自身のスマホを使うことで、ユーザー属性を取得しやすくしている。これにより「何月何日何時」「どの言語を利用する人が」「どこの施設の」「どこのテーブルで」「何を注文したか」などを、ビッグデータ分析可能とした。

《冨岡晶/HANJO HANJO編集部》

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