徳島上勝町から、地域産業活性化の原点を考える10の教訓 画像 徳島上勝町から、地域産業活性化の原点を考える10の教訓

インバウンド・地域活性

 第九に、上勝町の高齢者に、仕事と稼ぎと生き甲斐をもたらしているだけでは、後が続かない。地域の活性化には新しい世代の参加がなくてはならない。そのため上勝町といろどりは視察見学受け入れをはじめ、さまざまなプロジェクトやイベントを企画し、「ソーシャルビジネス育成」などの国の支援策、また町の委託「インターンシップ事業」などを生かし、移住・交流人口の増加と町のファンづくりをすすめている。報じられる「葉っぱビジネス」への関心、また豊かな自然環境や観光資源などに惹かれ、移住する若い世代も増加している。新たな起業も見られるという。

 そのようなかたちで、つねに世代交代と新しい力の導入をすすめる、取り組みの裾野を広げる、そこに上勝町と株式会社いろどりのしたたかなつよさがあるのである。

 第十に、あまり知られていないことだが、こうした大きな仕事を成し遂げてきた横石氏は決して「地元の人」ではない。実は長く実家のある徳島市内に住んでおり、徳島県農業大学校卒業後は、上勝町農協勤務のために毎日長い距離を通う生活だった。むしろ、自分の学びと発想を生かし、上勝町を活性化しようとして非常な抵抗に遭い、挫折を繰り返した。そのときの「見とれ、いつかは」という思いがこの企業家精神そのものの取り組みの心の原点だというのである。その意味、むしろ「よそ者」の知恵とチャレンジ精神が脈々と生きている。


●三井逸友(みついいつとも)
嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科長・教授 。慶應義塾大学経済学部大学院を修了後、駒澤大学、横浜国立大学に勤務(横浜国立大学名誉教授)。嘉悦大学には大学院発展のために赴任し、2015年4月に研究科長に就任する。日本中小企業学会の常任理事で、07年から約3年間に渡り同会長を務める。主な著作に『中小企業政策と「中小企業憲章」』『21世紀中小企業の発展過程』がある。


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《三井逸友》

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