好景気でも不景気でも、会社は赤字を出してはいけない 画像 好景気でも不景気でも、会社は赤字を出してはいけない

制度・ビジネスチャンス

 好景気であったり、不景気であったり、流行りすたりがあったり、世の中は日々変化の連続である。当然、好景気であれば業績はよくなるだろうし、不景気であれば業績は上げづらくなる。ヘタをすると赤字になってしまうかもしれない。

 しかし、経営者であれば、「好景気であっても、不景気であっても、絶対に赤字は出さない。必ず利益を出す」という強い信念で経営をしなければならない。
業績を景気のせいにしている経営者や管理職をよく見かけるが、それは自分の能力のなさを自らひけらかしているようなもので、聞いていて本当にみっともないし、情けない。

 好景気であれば利益が出て、不景気であれば損が出る。これでは、景気が経営しているようなもので、そこに経営者の手腕はまったく発揮されていないと言ってよい。経営者はいてもいなくても同じ、ということになってしまうではないか。

 松下幸之助氏は、「不景気でもよし、好景気であれば、なおよし。商売上手な人は、不景気に際してかえって進展の基礎を固めるものだ」という言葉を遺している。

 好景気、不景気とは、どうしてもあるもの。永遠に好景気が続くということはありえず、いつかは不景気の波が必ず訪れる。波があることが最初からわかっているのだからこそ、経営者は景気動向を業績の理由にしては絶対にならない。「商売は時世時節(ときよじせつ)で得もあれば損もある――と考えるところに、根本の間違いがある」。これも松下幸之助氏の言葉だが、本当に経営に対する厳しい姿勢が表れている。

 経営者は言い訳をせず、どんなときでも必ず利益を上げなればいけない。そういう覚悟・気持ちがあれば、経営者の行動は変わってくる。その例をあげてみよう。

 あの日本電産の永守重信社長は、リーマンショック後の2008年12月の売上が、直近のピークだった9・10月の5割強となり、黒字が維持できるか、赤字に陥るか企業存亡の危機を感じたという。

 そこで永守社長がとった行動は、何と図書館にこもり1930年頃の世界大恐慌に関する書物をむさぼり読んだ、というのである。まだその頃は、リーマンショックなどとは命名されていなかっただろうが、永守社長はこの落ち込みは世界大恐慌に匹敵するものだ、と瞬時に察知したのだろう。その感性はさすがというしかない。

 その上で、12項目におよぶ「不況対策指針」をわずか数日で作り上げ、社内に発表したのである。その内容は、在庫圧縮などはもちろん、人命、健康、法令順守に反すること以外は、すべてでコスト削減を徹底するよう指示するものだった。

 製造業では、工場の稼働率が7割程度を下回ると一般的には赤字になるが、永守社長はこれが5割になったとしても黒字を出せる体質にするという、とてつもなく高い目標を掲げたのである。リーマンショックのように、通常ではあり得ないくらいの危機に直面した時には、普段では出てこない収益改善策が次々に出てくるものだと言う。まさに、火事場の馬鹿力のようなものだ。

 その結果、当期の黒字確保はもちろん、不況下で鍛えられたコスト体質は、景気が回復すると超高収益体質の会社に生まれ変わったのだ。何と、不況を利用して会社を強くしたのである。

 経営者はこのくらいたくましくないといけないと思う。好況でも不況でも必ず利益を出す。不況であれば会社を強くするチャンス、と見て好況時にはできないことをやるのだ。

 景気や環境のせいではなく、すべては自分に責任があるということを肝に銘じることだ。逆に言えば、すべては自分たちで変えることができるということ。だからこそ、経営者は常に闘争心を持って、闘い続けていかなければならない。

 赤字になるというのは、すなわち、経営者があきらめたとき、だけなのである。


●北岡修一(きたおかしゅういち)
東京メトロポリタン税理士法人 統括代表。25歳で独立以来、税務会計業務を基本としつつも、経営診断、人事制度の構築支援、システム導入支援などコンサルティング業務にも携わってきた。現在は「会計理念経営」を掲げ、「会計を良くすると、会社が良くなる!」をモットーに、誠心誠意、中小企業を支援している。主な著作に『社長の「闘う財務」ノート ~ 社長の数字力が会社を鍛える』(プレジデント社)がある。


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