地方の行政官と話がしたい! 日南市のマーケティング専門官 画像 地方の行政官と話がしたい! 日南市のマーケティング専門官

インバウンド・地域活性

■「お前の代わりはいくらでもいる」という時代は終わった

ーー田鹿さんはもともとは民間出身(リクルートを経て在中国の広告代理店)です。着任当時は地元の中小企業・事業者の状況はどのように映りましたか?

田鹿 中小企業に特に問題点があるわけではありませんでした。日南市は林業が盛んな地域ですが、バイオマス発電と中国への輸出という追い風が吹いているので、いま木材単価は高値になっています。製造業の売上も安定していました。しかし「人事」のところで課題を抱えている経営者が多かった。人材を採用したいのにうまくいかないという問題です。

かつて若者が多かった時代にはハローワークと縁故採用で事足りました。高校の場合は学校とのパイプで高卒社員を採用できた。終身雇用も普通だったので、地方の中小企業は「ひと」については困らなかったんです。しかしいま、宮崎県では高校卒業後に半数は県外に流出しています。地元の企業はこれまで、人事、採用を計画的に行ってきたわけではないため、ひとがいなくなって「さてどうしよう?」という状態だったんです。人事の設計ができる経営者が少ないし、そもそも人事まわりでの目標設定ができていない場合も多くあります。そこで私は、県内の人材系の会社を日南市に招き、企業との意見交換から始めることにしました。

ーー地方の中小企業の衰退の根底には「ひと」の問題があるということなんですね。

田鹿 「お前の代わりはいくらでもいる」と経営者が言えた昔とは違うんです。いまは辞められたら誰も会社にはいなくなってしまう。人事設計ができないと、売上がたっても社員が採用できず供給が追いつかない。最悪場合だと事業がなりたたなくなる。そんな時期に入っているんです。人事が地方の中小企業の肝なんです。

ーー昨年9月には、首都圏から日南市への人材還流の取り組みとして「オトナのインターンシップ」を実施しています。

田鹿 日南市の中小企業経営者の右腕になるようなひとを採用したいという考えで始めてみました。3泊4日という短期間でご家族と一緒に日南市にきてもらい、ご本人は地元企業の課題解決を目指す就業体験に参加していただく。ご家族には保育施設など生活環境を見てもらいました。週末にはご本人も一緒に観光ツアーなどに参加してもらうという試みです。このイベントでのポイントのひとつは「家族」。家族ごと日南市にきてもらい、奥さんや子どもさんには地元での生活を体験してもらう。30名ほどの応募があり、実際には2組が体験留学しました。協力会社であるビズリーチさんの「ビズリーチ」や「スタンバイ」に登録している方なので、応募者はみなさんスペックが高い。地元企業も喜んでいます。この企画は結構いけそうな気がしています。

ーーほかにも人材についてアイディアをもっていそうですね。

田鹿 これからは人事のアウトソーシング機能が大事だと考えています。会社単位ではなく「地域の人事部」を作ることができれば、地域全体の生産性を高める手段になるのではと思っています。例えば「午前はこちらの会社で、午後はあちらの会社」といった特定の会社に従属しないやり方や、「1社月額10万円、2社を掛け持ちで20万円」の人事担当者がいてもいい。個人の特性と会社の特長を把握して人事のマネージメントができれば、生産性の向上につながるのではないでしょうか。

《加藤陽之/HANJO HANJO編集部》

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