リンゴの発泡酒「シードル」急成長! 収益性が魅力 画像 リンゴの発泡酒「シードル」急成長! 収益性が魅力

インバウンド・地域活性

 リンゴの発泡酒「シードル」市場が盛り上がっている。飲みやすさが女性に受け、リンゴ産地では加工リンゴの新たな販路として農家がワイナリーに委託醸造して販売したり、JA子会社が醸造会社に出資したりと、生産量は年々増加。3月下旬にドイツで開かれた国際品評会で青森県の農家が最優秀賞を獲得、国産の品質の高さを証明した。輸出の他、シードルの産地巡りで農村に人を呼べるとの期待も高まる。
観光の目玉にも期待 業界が注目
 常に10種類を取りそろえるシードルバー「エクリプスファースト」(東京都千代田区)は、連日30~40代の男女でにぎわう。同店の藤井達郎代表は「どんな料理とも合い、気取らないお酒」とほれ込む。

 シードル目当てに訪れた都内在住の女性2人も「健康志向で興味があった。たくさん種類があり金色や透明など色が違うのが面白い」と話す。

 業界の参入も相次ぐ。15年には、リンゴ農家の出身者やシードルの醸造家らが「日本シードルマスター協会」を設立。昨年、東京や北海道でイベントを開いた。生産量は年々増え、同協会によると16年は国内で推計3600キロリットルが生産された。

 キリンビールは13年にシードル醸造に参入。「アルコール商品が多様化する中、選択肢の一つ」(広報部)と市場拡大を狙う。国内外からリンゴを調達し、16年産は前年比30%増の1853キロリットルを生産した。

 シードル発売から60年を迎えたアサヒビールは国産リンゴ100%のシードルを弘前工場で醸造。16年の生産量は前年から10%増やした。同社は「アルコール度数が低めで、特に女性が飲みやすいのが需要につながっている」とみる。

 シードルを生産する長野県松川町の信州まし野ワインの醸造主任の竹村剛さんは「今シーズンは小玉のリンゴが多く、シードル醸造に適していた」と話す。

 海外からも売り込みが相次ぐ。3月、英国のシードルをアピールするイベントが都内で開かれた。米国も昨年5月に同様のイベントを開くなど、各国が自国産を売り込む姿勢を強めている。

 日本シードルマスター協会の小野司統括役員は「海外ではリンゴ産地や醸造所を巡る“シードルツーリズム”が普及し、日本でも産地に人を呼べるようになるのでは」と期待する。一方、小売店や飲食店の中にはまだ扱いに踏み切れないところも少なくない。「開栓後に売れないと廃棄リスクもある。海外のようなたる流通でタップ(蛇口)から提供できるよう推進したい」(同)と話す。
海外品評会で連覇 青森の農家
 ドイツ・フランクフルト市で開催された「国際シードルメッセ」で3月下旬、青森県弘前市のリンゴ園・タムラファームが醸造したシードル「タムラシードル紅玉」が最高位の“ポムドール”を受賞した。世界15カ国から約500点が出品される中、2年連続受賞の快挙となった。同社社長の田村昌司さん(58)は「3年連続受賞を目指し、将来は輸出も考えたい」と意欲を見せる。

 地元の観光業者などでつくる長野県飯田市のNPO法人・国際りんご・シードル振興会は農家向けに、シードルの知識や加工用リンゴの特性などについて講習を開催。リンゴ産地の青森県の農家や醸造家を招いたイベントを開き、シードル文化と産業づくりの機運を高めている。田村さんの品評会出品も支援した。

 長野県飯田市のリンゴ農家、吉澤剛さん(43)もメンバーの一人。2年前からシードル加工用として「ふじ」「シナノゴールド」を出荷する。これまで加工用はジュースやジャムにして販売していたが、シードルの話題性や収益性の高さに着目。「加工リンゴをお金にする新たな展望を広げたいし、話題作りにもなる。専用品種が生まれたら、作ってみたい」と話す。

 JA信州うえだの子会社が出資するワイン醸造所「アルカンヴィーニュ」は2015年からシードルを生産し、16年産は委託を含めて7350リットルを生産した。JA信州うえだの関係者は「シードル専用のリンゴ栽培を探っていくことも考えられる」と意欲的だ。(川崎学)

リンゴの発泡酒 シードル 急成長 女性に人気 収益性魅力 産地交流広がる

《日本農業新聞》

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