サービス業のIT利用最前線!1  老舗旅館がタブレットで変革 画像 サービス業のIT利用最前線!1  老舗旅館がタブレットで変革

IT業務効率

【記事のポイント】
▼清掃員向け専用アプリを導入することで、指示や備品チェック、顧客要望をデジタルで一元管理
▼IT部門がなくてもチームを構成することでIT化に対応する
▼コスト削減や人手不足対応だけでなく、将来へのIT化への第一歩とするという意識をもつ

 インバウンド需要の拡大、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックといった要因から、「おもてなし」がキーワードとして注目されている。ITやIoTを活用した「おもてなし2.0」とでもいうべきサービスや製品が、飲食業・旅行業・物販業の領域で、多数登場しつつある。

 ITやIoTを活用した店舗における接客向上では、RFIDタグやビーコンなどのIoTデバイス導入をはじめ、接客のためのアプリ&タブレット活用、スマートペイメントやスマートポイントサービス、AIによる接客や顧客対応、SNSやLINEなどの活用による来店フォローアップなどが積極化している。連載「サービス業のIT利用最前線!」は業務を活性化させる最新事例を紹介することで、同業他社だけでなく他ジャンルも含めて、IT導入に目を向けてもらうためのヒントとなることを想定している。

■伝統ある旅館「龍名館」が取り組む、先進のデジタル化

 第1回は、株式会社龍名館・広報部の山口沙織さんに話を伺った。「龍名館」(りゅうめいかん)は、1899年創業の老舗旅館を前身とし、「ホテル龍名館お茶の水本店(旧:旅館龍名館本店)」の他、分店として「ホテル龍名館東京(旧:旅館呉服橋龍名館)」を都内で営業している。源流である「旅館龍名館本店」は、幸田文や伊東深水など、画家・作家・芸術家など文化人が愛用したことで名を知られている。

 そんな伝統ある同館だが、近年はIT/IoT活用に注力。他のホテル・旅館に先駆け2013年に、宿泊者向けiOSアプリ「Ryumeikan」の無料提供を開始。ホテル龍名館東京の直通電話機能や予約機能の他、周辺案内、クーポン、東京の当日の天気予報表示、同社の公式TwitterやFacebookの紹介などに対応した。自社の内部システムについては、2015年9月から宿泊台帳をデジタル化。チェックイン時の宿泊台帳の入力にタブレットを導入し、宿泊客の登録内容の一部が自動的にシステムに反映されるようにした。

 さらに2016年9月からは、清掃員向けiPadおよび専用アプリを導入。従来は紙ベースでやりとりしていた清掃指示や備品チェック、顧客要望をデジタルで一元管理できるようにした。今回のインタビューは、このシステムを中心に、同社のIT/IoTに対する取り組みを広く伺った。

■現場スタッフでチームを構成、自分たちの使いやすさを突き詰める

ーー清掃員向け専用アプリについて、概要を教えてください。

山口 客室管理に特化したアプリとして、昨年9月より導入し、ほぼ半年となります。階を横断した各部屋の清掃状況(完了しているか否か)が手元の端末で随時把握できるほか、各部屋のテレビシステムを使って報告していた清掃状況を、iPadをタップするだけで、すぐに把握できるようになりました。一部のスタッフ達からは新しい運用に関して抵抗感もあったと思います。ただし導入によって生産性が下がっては意味がありません。

 導入を決めた当初は本計画の目的やシステムの機能性について十分に説明することを心がけました。現在は、「やはり便利」「手放せない」という声をもらえるところまで来ました。

ーー現場は反対だった、ということは、導入は会社主導だったのですね。導入は、経営層からの指示だったのでしょうか? それともIT部門の提案だったのでしょうか?

山口 日頃から業務に関わっている宿泊部門主導ですが、やはり新しいものを導入する変化に抵抗を感じるスタッフも一部おりました。当ホテルでは、開業から7年間、紙を使って清掃作業を行ってきましたので、新しい仕組みを入れることに対する不安感があったようです。

ーー社内で導入を推進する部署は、大変だったかと思います。これは客室担当の部門ですか? IT担当の部門ですか?

山口 当社には、IT担当の部署が存在しません。私は現在は広報担当ですが、昨年まではフロント勤務でした。そのときに、フロントのスタッフ内で、タブレット導入チームを編成しました。。チームは計6名で、フロントスタッフが3名、オブザーバーとして支配人など事業責任者クラスのものが3名という構成です。このチームで、専用アプリに必要な機能などの検討を行いました。

《冨岡晶/HANJO HANJO編集部》

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