畳の復活へ追い風! 海外での“日本ブーム”が「TATAMI」を復権させるか? 画像 畳の復活へ追い風! 海外での“日本ブーム”が「TATAMI」を復権させるか?

インバウンド・地域活性

 生活様式の洋風化などを背景に国産畳表の生産が減少する中、昨年2月の地理的表示(GI)登録を契機に、い業復活の動きが広がっている。海外での“日本ブーム”を視野に、全国の畳店などが魅力を国内外に発信するプロジェクトを発足。熊本県JAやつしろは、輸出の検討を始めた。イ草の機能性に着目した新素材の開発や、農機メーカーによる収穫機の再販など産地に追い風が吹く。
魅力を発信 輸出で活路
 畳の普及に取り組む全国18の畳店でつくる「畳屋道場」(山形県寒河江市)は2月、新たなプロジェクト「TATAMI TOMORROW」を立ち上げた。映像ディレクターや広告の専門家、写真家、資生堂など異業種と連携。斬新なデザインや映像を駆使して魅力を発信する。「畳」の字とローマ字を組み合わせたロゴマークも作った。

 畳の輸出の他、海外にある和室の“畳替えイベント”の実施なども視野に入れる。プロジェクト代表を務める鏡畳店(同市)の鏡芳昭社長は「イ草農家がいなくなれば、日本の畳文化も終わってしまう」と懸念。国産畳表を扱う畳店を増やし、農家減少に歯止めをかけたい考えだ。

 イ草の全国生産量の9割を占めるJAやつしろは、畳表の海外輸出を検討し始めた。JAは台湾へ梨を輸出するなど実績があり、そのノウハウを生かす考えだ。JAい業センターの谷川隆生センター長は「日本文化を残したい」と話し、海外での和室普及も検討する。

 JAなどで構成する県いぐさ・畳表活性化連絡協議会は、赤ちゃんがはっても安全な畳の良さを再認識してもらおうと、毎年「全国赤ちゃんハイハイ大会」を開催。今年も3月中旬に市内で開催し120人の赤ちゃんが参加した。

 国内での需要回復も狙う。「くまもと県産い草」「くまもと県産い草畳表」が昨年2月にGIに登録され、産地は9月から出荷証明書にGIマークを付けて出荷。安価な中国産などとの差別化を図る。産地は今後、商品にシールを貼り消費者に周知する方針だ。
消臭や抗菌 新素材続々
 畳という従来の用途にとらわれない新素材の研究開発も進む。熊本県農業研究センターい業研究所は民間企業などと連携し、イ草を粉末にして塗料と混ぜ住宅の内装などに利用しようと、新素材の開発を進めている。消臭や抗菌作用、香りなどのイ草の機能性を生かし、産業用素材としての用途を模索する。

 農機メーカーも、い業復活に力を入れる。クボタは27日、イ草の収穫機械「いぐさハーベスタ」の生産再開を発表した。生産農家の減少を背景に10年ほど前、同社を含めた農機メーカーがイ草収穫機事業から撤退したが、同社は産地の要望に応えて再生産を決めた。3年間で100台を限定生産し、5月から発売する。機械の導入費用を農水省が助成する。

 畳のPRイベントも行う。全国畳産業振興会は「畳の日」の4月29日に京都市で開き、消費者への理解を進める。同会の神邉●一会長は「国産イ草は非常に評判がいい」として、供給増に期待する。
生活洋風化や輸入に押され
 農水省によると、生活様式の洋風化や安価な中国産の輸入などを背景に、イ草や畳表の生産者は減少が続く。1970年に全国で9540ヘクタールあった作付面積は、2016年には主産県の熊本、福岡両県で643ヘクタール、畳表の生産枚数は254万枚。いずれも10年前の半分に減少。畳表の国内供給量は1320万枚(15年)で、中国産などの輸入品が8割を占める。

 同省は「産地や伝統を維持するために、少なくとも今の生産規模を維持したい」(生産局地域対策官)として、産地の輸出や異業種との連携に期待する。「20年の東京五輪・パラリンピックまでの3年間が勝負」(同)としている。(隅内曜子)

 編注=●は金へんに栄の旧字体

畳 復活へ追い風 産地振興、消費拡大 業界躍起 GI登録、異業種連携、収穫機を再販、PRイベント 

《日本農業新聞》

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