VRによるショッピングの未来、VRコマース 画像 VRによるショッピングの未来、VRコマース

IT業務効率

 2016年5月、流通総額838億ドル(約9兆2,046億円)を誇るオンラインマーケットプレイスの米ebayが、オーストラリアの大手百貨店マイヤーと組み「バーチャルリアリティー・デパートメント・ストア(VR百貨店)」を開店しました。

 これは、VR空間上で12,500点以上の商品を取り扱うEコマースで、Gazeと呼ばれる視線カーソルを使って、項目や商品を一定時間見つめると商品の仕様や価格、在庫状況などの詳細を確認できるようになっているサービスです。もちろん「カートに追加」を見つめれば購入も可能です。

 「Shopticals(ショップティカルズ)」というebayオリジナルの段ボール型のVRデバイスも配布しており、スマートフォンにはめて利用することが出来るようになっています。その他、Google CardBoardやGear VR、HTC Viveなどにも対応しており、モバイルからPCまでさまざまなデバイスでのVRコマースを提供しています。

 流通大手のebayがVRコマースに参入したことで、他社もVRに対する施策をいっせいに打ち出してきました。

 2016年9月、流通総額153億7,400万ドル(約1兆7,000億円)のショッピングカートサービスである米Shopifyは、VR空間で店舗を開設し購入できるHTC Vive用ソフトウェア「Thread Studio」をリリースしました。

 こちらはVRで買い物をする機能だけではなく、Shopifyに参加する販売側ユーザーに向けて、VR店舗を作れる機能が付いているものです。従来はVRコンテンツを作ることにコストや開発の手間がかかっていましたが、このようなソフトが登場してくることで、現在のEコマースと同じように誰でもがVR上の店舗を作れることが可能になっていくでしょう。

 2016年9月、中国最大のEコマースであり流通総額2.1兆人民元(約35兆円)を誇るTaobaoは、「BUY+」というVRコマースを発表しました。こちらはより現実の買い物に近いVR体験を目指して開発されており、店内を歩き回ったり、商品を手に取ったり、触れたりするというコンセプトが提示されています。

 そのような中、流通大手の米Amazon(流通総額1,359億ドル(約16兆2,500億円)も現在VRデバイスによるVRショッピング体験の構築という職種で検索、広告技術のA9部門の人材を募集しており、将来VRコマースへの進出を図ると予想されています。

■日本国内のVRコマースサービス

 北米、中国ではEコマース大手がさまざまなVRコマースを立ち上げてきていますが、日本国内ではどうでしょうか?

 日本ではPsychic VR Labが発表したファッション特化のVR EC構築、販売サービス「STYLY(スタイリー)」があります。従来では商品の表現が難しかったアパレルに特化したVRコマースとして期待されています。従来は素材感などの3D化が難しいとされていたファッション分野にフォーカスし、商品の3Dモデル化からVRサイト構築までをワンストップで提供するサービスとして注目されています。

 段ボール型のVRデバイスとしていち早く市場に参入した株式会社ハコスコは、2017年1月に「VR for EC」というサービスを発表しました。これは、ブランドの世界観を表現した360度映像内の商品を購入できるサービスで、第一弾としてファッションブランドRoom no.8のVRコマースのリリースを発表しています。

 VRを使ったEコマースの特徴としては、従来では分かりづらかった商品を、より詳細に実物に近い形で確かめることができる点、ブランドや世界観をVRを使ってより正確にユーザーに伝えることができる点などが期待をされています。一方で、現在はVRという話題性で注目されている部分も多く、VRだからこそ利用する部分、VRでなければならない部分がなければ一過性の流行として消費されてしまうでしょう。

 今後登場してくるAR/MRなどのデバイスでは、現実の店舗の中で商品に関連したさまざまな情報を表示・体験出来るようにもなっていくでしょう。VR/AR/MRの登場により、われわれのショッピング体験がさらに豊かになっていく未来を思うととてもワクワクしますね。


●プロフィール
沼倉正吾(ぬまくらしょうご)
DVERSE Inc.(ディヴァース・インク)CEO。エックスタイムジャパン株式会社取締役、有限会社ナスカークラフト代表取締役を経て、14年にDVERSE Inc.を設立。バーチャルリアリティに関するシステムやコンテンツの開発を行う。



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《沼倉正吾》

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