ジビエのトレーサビリティー、業界で統一流通ルール 画像 ジビエのトレーサビリティー、業界で統一流通ルール

制度・ビジネスチャンス

 野生鳥獣の捕獲や食肉加工に携わる団体でつくる「日本ジビエ振興協会」は、野生鳥獣の肉(ジビエ)の流通に関する業界初の統一ルールを策定した。トレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)を導入し、捕獲した場所や金属検査結果、加工日の情報を精肉に表示し、実需者が確認できるようにする。消費者が求める安心志向に業界が応え、需要を掘り起こす。今夏にもルールの運用が始まる見通しだ。

 野生鳥獣による農作物被害が深刻化する中、政府は2023年までに鹿とイノシシの生息頭数を半減させる目標を掲げ、捕獲に力を入れる。捕獲した鳥獣は大半が利用されずに処分されており、食肉として仕向けられるのはわずか1割(農水省調べ)にとどまる。

 飼養管理された牛や豚と違い、ジビエは野生由来のため安全性の情報が不足し、不安から需要が伸び悩んでいる。施設ごとに食肉の規格も異なり、想定する部位の大きさや肉質が違うなど実需者から扱いにくさを指摘する声も出る。

 協会がまとめた流通ルールは、これらの課題を踏まえて、ジビエの安全証明や部位別の加工基準の創設を盛り込んだ。厚生労働省が定めたジビエの衛生管理ガイドラインを取り入れ、協会が認証した食肉加工施設に、ルールに沿ったジビエの生産・販売に取り組んでもらう。商品に認証マークも貼り付け、付加価値を高める戦略だ。

 目玉となるトレーサビリティーは、獣種や捕獲地域、金属検査結果、加工日を記録し、商品ラベルに記載する。捕獲方法や体重といったより具体的な情報は、ラベルに添付したQRコード(2次元コード)を読み取れば入手することができる。協会の担当者は「店頭で捕獲や加工の情報が分かり、安全性が伝われば、消費を増やすことができる」と意義を説く。

 ロースやバラ、モモなど部位別の加工基準も作る。鹿肉で10種類、イノシシ肉で12種類あり、部位の位置を明確にした上で作業手順書でカット方法を施設に普及、流通規格が全国で統一できるようにする。各地から品質のそろった肉を飲食店が調達しやすくなるため、各店舗の利用拡大につながるとの期待がある。

 協会は17年度からルールの試験運用を始める。現時点では長野や和歌山など5県の6施設が認証を受け、ルールに沿ったジビエの生産・販売に取り組む予定。参加する施設を募り、18年度にも本格運用したい考えだ。

 農水省は「ジビエは施設ごとに規格が異なるので、地域内の流通に限られがち。業界統一のルールができれば、全国的な販路拡大が期待できる」(鳥獣対策室)と話す。

ジビエ トレサ 夏に試行 業界で統一流通ルール

《日本農業新聞》

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