~健康経営が生む新ビジネス:3~オフィス訪問の野菜販売が好調! 画像 ~健康経営が生む新ビジネス:3~オフィス訪問の野菜販売が好調!

制度・ビジネスチャンス

 また、当初オフィスへの配送は自社スタッフが自転車やバイク、車で行っていたため、サービスエリアは都内の一部エリアに限られていた。しかし、2016年4月には朝日新聞販売所(ASA)と業務提携し、その配達網を活用することでエリアを徐々に拡大している。配送の外注化はコストが発生するものの、エリア拡大のための投資と比べた上で、川岸氏は前者を取ったという。朝日新聞販売所にとっても朝刊と夕刊を配達する間の空き時間を活用できるため、パートナーとしての相性は良い。

「弊社は規模が小さな企業で、資本力にも限りがあります。だからこそ、得意分野を持つ企業や農家にできるだけ任せて、弊社自身はコアな部分に専念しました。そうすることでここまで成長できたのだと思います」

■従業員への試食の成果で、担当者や経営者を攻略する

 時代のニーズをつかんで着実にビジネスを広げるOFFICE DE YASAIだが、実はそのきっかけは健康経営ではない。当初は“農業の活性化”をキーワードに、無農薬の有機野菜を産直販売するビジネスモデルを目指していた。しかし、供給を安定化されるためには一定の需要を確保しなければならない。一般家庭向けの宅配サービスでは「Oisix(おいしっくす)」や「らでぃっしゅぼーや」などが先行しているため、後発組としては競争力に劣ると判断したのが、オフィスをターゲットとする現在の事業につながったという。

「当初は、会社帰りに途中で野菜を買う代わりに、オフィスで野菜を買ってもらえるようにと、頒布会のような販売モデルを想定していました。しかし、いろいろと意見を聞いてみると、自宅に持ち帰らずにオフィスで手軽に食べたいという声が多くて、『オフィスグリコ』のような設置販売型に狙いを定めたのです」

 このような意見を集められたことには、同社がインキュベーションオフィスを拠点にしていたことが大きい。さらに、川岸氏は前職のコンサルタント時代からつながりのある企業にアプローチし、商品の試食やトライアルを繰り返している。そこで分かったのが、まずは商品を食べてもらうことと、オフィスで気軽に野菜を食べられる環境を体感してもらうことの重要性だ。

 OFFICE DE YASAIでは導入前にオフィスを訪問して、無料の試食会を開催している。そこで従業員が気に入れば、事業者側の担当者は経営者への説得がしやすく、導入の動機付けにもなる。試食会後にはアンケートも行い、その結果を検討材料として事業者にフィードバックしているようだ。営業活動としては各種の展示会に出展しているが、そこでも可能な限り試食をしてもらうよう努めているという。

 このような取り組みが実を結び、OFFICE DE YASAIは本格的にサービスを開始したその月のうちに新聞やテレビに取り上げられ、企業からの問い合わせが一気に増えた。食という手軽に体験できるテーマで、その魅力を事業者や経営者に最大限伝える。その上でオフィスの負担は冷蔵庫を設置するだけという手軽さが、同サービスでは契約数の急増につながった。これは、他の食をテーマとする健康経営ビジネスでも、大いに参考になる手法といえるだろう。

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《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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