【東京五輪でビジネスに勝つ】製造技術アピール、動くのは今 画像 【東京五輪でビジネスに勝つ】製造技術アピール、動くのは今

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼「ビジネスチャンス・ナビ2020」など、受発注の場が生まれつつある
▼具体的な事業が見えていれば、公募を待たず、自ら売り込むのも手
▼オリンピックでは“オールジャパン”という協調路線にも強みが


■老舗メッキ工場が考えるオリンピックビジネス

 東京五輪の開催とその特需に向けて、建設業やサービス業がさまざまな動きを見せている。2016年2月には、官民の調達情報を一元化したポータルサイト「ビジネスチャンス・ナビ2020」のユーザー登録が開始された。これからは、オリンピックに伴う事業について、具体的な受注も増えていくだろう。このサイトのキックオフイベントで、オリンピックへの想いを語っていた一人が、日本電鍍工業株式会社代表取締役の伊藤麻美氏だ。

 日本電鍍工業は埼玉県に工場を持つ中堅のメッキ企業。伊藤氏はアクセサリーのデザインの宝飾関係の資格をとり、米国での就職も決まっていたところ、先代社長である父親の訃報をきっかけに帰国。会社を引き継いだという異例の経歴の持ち主で、就任3年で経営を黒字化させた腕利きの経営者でもある。

 そんな伊藤氏がオリンピックに向けて、金メダルのメッキ加工を受注すべく奔走している。そこには、どんなビジネスの展望があるのか? それを知るには、まずオリンピックのメダルについて知る必要がある。オリンピック憲章に記載された規格によると、金メダルは銀製のメダルを6g以上の金で覆う必要がある。メダルの表面処理は金箔による方法も考えられるが、耐久性や規定を考えるとメッキ加工が最適だ。

 とはいえ、一般的にメッキ加工は薄さを要求するものが多く、6gの金で覆うとなると普通のメッキ処理では難しい。そこで、古くから腕時計や楽器などで、厚口のメッキ加工を手掛けてきた同社が、メダルの加工に手を上げたわけだ。

■サンプルを作り、自治体や関連組織へ地道に働きかける

 東京がオリンピックの開催地に決定したとき、伊藤氏はすぐ「メダルのメッキをうちでやりたい」と思ったという。歴史に残るオリンピックというイベントに携わることは、会社の名声だけでなく従業員のプライド、モチベーションといった無形の価値が生まれるからだ。社内にはソウルパラリンピックでバスケットボール選手を経験している従業員もおり、彼らの間でこのプロジェクトに対する期待は高いという。

 同社ではすでにメダルのサンプルを制作し、商工会、市や県の産業振興担当者、経済産業省、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などにアプローチを行っているという。ただ、伊藤氏はこの事業を、東京五輪の特需ビジネスとは考えていない。技術力のアピール、オリンピック前後のビジネス全体を考えた戦略だ。受注が成功すれば、その実績とともにメッキ処理技術の新しい蓄積ともなる。

 オリンピック関連の公募事業や調達に関しては、先に紹介した「ビジネスチャンス・ナビ2020」でも情報が得られるが、同社は独自に提案や売り込みを展開している。つながりのある行政の窓口や人脈を利用したものから、関連組織、団体への正攻法での売り込みまで、その営業活動はさまざまだ。

 日本電鍍工業の場合、独自技術とメッキ処理を担当したいという具体的な提案内容やプランがあるので、公募案件を待つのではなく、積極的なアピールをしていく攻めの姿勢を貫いている。また、オリンピックメダルについては都市鉱山(廃棄電子機器からレアメタル、貴金属などを抽出する取り組み)の利用を想定した別のプロジェクトも存在し、これにも日本電鍍工業は賛同している。

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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