【CHOフォーラム】企業価値向上に向けたCHO構想の実践 画像 【CHOフォーラム】企業価値向上に向けたCHO構想の実践

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■導入事業者が語る、健康経営のすすめ

 パネルディスカッションではまず、登壇した2社の代表から、実際に行っている健康経営に関する取り組みについて紹介があった。

 床傾きの補修を得意とする建設事業者のアップコン株式会社では、施工における全工程を自社の従業員のみで担当。その際には4人でチームを組むが、作業の分担があるため、急な遅刻や欠勤は業務の大きな妨げになるという。

 こうした理由もあって、同社では代表取締役の松藤展和氏が自ら積極的に従業員の健康づくりに取り組む。社内に会社公認で健康を促進する「健活倶楽部」を設置し、業務として就業時間内に活動することを認めている。主な活動はレクリエーションの企画・実施で、その内容はボルダリングやマラソン、ヨガ教室など多岐にわたる。今年は特にフットサルに力を入れており、月に2回は平日の朝9時から11時まで、プロのコーチを呼んでの練習を実施している。

 健活倶楽部にもリーダーはいるが、自身が活動の先頭に立ったことについて、松藤氏は「社全体の方針であることを、代表としてアナウンスすることが重要だった」と話す。フットサルの練習は就業時間内に行われるが、その一方で「就業時間が減っても、売上は絶対に下げない」というのが会社として打ち出している大原則だ。

 その他では、禁煙についても取り組んでおり、就業時間中は原則禁止。時間外においても禁煙を推奨しており、出社時に煙草の煙を匂わすことも許されない。喫煙本数は毎月ヒアリングし、その結果を年に一回、家族や保護者に手紙で送るなど、さりげなく禁煙を促しているという。こうして、禁煙を達成したり、レクリエーションに参加するといった健康的な取り組みに対しては“健活ポイント”が付与され、カタログギフトとの交換や震災寄付などに利用できるという仕組みだ。

「健活ポイントなどによって期待できる効果は、病欠の減少、体力向上、仕事の質向上などでしょうか。今シーズンは従業員の誰一人としてインフルエンザにかかりませんでしたが、これは会社が始まって以来、初めてのことですね」

 一方、女性中心の職場において、健康経営の成果を上げているのが日本調剤株式会社だ。会場では社員クチコミ情報サイト「Vorkers」における調査結果が紹介されたが、残業30時間以下の企業において、2007年から2016年にかけての株価上昇率は、株式会社オリエンタルランドや株式会社良品計画などを押しのけて、同社が首位に挙げられていた。

 常務取締役の三津原庸介氏によると、これはさまざまな先行投資の結果が生んだものとのことだが、その一つに健康経営があったという。同社に所属する薬剤師は7割が女性で、医療事務はほぼ10割が女性社員だが、そのモチベーションを高めるために研修制度を整備した。全国のスタッフを本社に召集し、地域のへだたりなく交流を深め、情報共有を進めている。

 また、女性が働きやすい環境にも力を入れており、育児休暇や在宅勤務なども促進してきた。これによって、ここ2年間は育児明けの薬剤師の勤務が急増し、大きな戦力になっているという。

「業界では今、薬剤師の獲得競争が激化しています。新卒者や中途採用者の募集も行いますが、大事なのが育児休暇からの復帰率を高めることです。日本調剤における雰囲気や仕事のフローは共通なので、彼女たちに働いていただくことで、生産性を向上させることができます」

■健康経営におけるCHOの役割とは?

 その他、会場では全国健康保険協会神奈川支部支部長の吉原利夫氏が、保険事業の現状に加え、健康づくり事業について紹介。特定健康診査や特定保健指導によって、従業員が健康状態を把握することの重要性を訴えている。北里大学医学部特任助教の佐藤乃理子氏は、産業医や産業保健師といった“産業保健スタッフ”の活用について言及しており、法律問題を弁護士に相談するように、健康問題について相談してほしいと語った。産業保健総合支援センターや地域産業保健センターなどを活用することで、そのコストを抑えることもできるという。

 神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室未病産業・ヘルスケアICT担当課長の兄内宏氏によると、健康経営に取り組む際のノウハウは、CHO構想が始まった当初からの課題だという。県では今回のフォーラムなどを通じて情報を提供しているが、その取り組みは業種によって異なるため、今後、個別にソリューションを提供することを考えているとのことだ。

 これについては、パネルディスカッションの司会を務めた平野氏も同意見とのことで、健康経営における成功事例をマニュアルのようなものだと勘違いして、それを真似しても同じ成功は得られないと述べた。大事なのは自社に合った仕組みをどう作るかで、まずは各事業者が自社の環境をチェックし、そこに経営上の理念を構築するのがCHOの責務だという。

 健康経営は直接利益に結びつかず、評価の基準もあいまいだ。だからこそ、まず責任者がリーダーシップを取り、全社を挙げての取り組みにすることが大事なのだろう。CHOという存在を置くことが、健康経営を実現する上で重要なファクターになること。それは、フォーラムで語られた先行事例などに伺うことができる。

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《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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