大規模案件を直接受注、企業連合で大手に対抗する地方SE 画像 大規模案件を直接受注、企業連合で大手に対抗する地方SE

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼集団組織化によるSE人数の確保で、大規模案件を直接受注する
▼地の利を活かすことで、大手の販売拠点としても機能する
▼参加企業の強みを生かした個別営業なくして、大手の注目は集まらない


■中小IT企業の集団組織化で“下請けジレンマ”から脱却

 古くから精密産業が盛んだった長野県には、それを支援するIT企業が数多く存在している。このような県内の中小IT企業が協力して、2016年4月に設立したのがグローバルICTソリューションズ協同組合(GICT)だ。間もなく第一号案件として製造業に特化した基幹業務システムパッケージを手がける株式会社アミックとの協業が実現。システム開発の大型案件を受注することに成功している。

「この受注は中手企業1社だけでは決して実現できないことでした。GICTは会員企業を合計すると、システムエンジニア(SE)の人数が数百人規模にのぼりますので、その点でアミック様に興味を持って頂き、受注につながったわけです」

 このように当時を振り返るのは、ソフトウェア開発を行う株式会社アイムシステムを経営し、GICTの副代表理事を務める西澤茂氏。アミックからの受注については、GICTが発足する前の段階で話を持ちかけることになったが、その反応は素早いものだったという。

 そもそもGICT設立のきっかけは、発起人で中心的な役割を担う株式会社ユリーカが、同じような問題を抱えていたことにある。同社は従業員40人規模のソフトウェア開発企業だが、大手企業へ取引を持ちかけたところ、「SEが500人規模の企業であれば発注しますよ」との回答を受けた。

「ならば横のつながりで数社が集まって、SEの合計が500人規模となれば、大企業から規模の大きい仕事を請け負うことができる。そういう組織を作ろうと考えたのです」

 大手企業の3次請け、4次請けの下請け事業者は、細分化された事業の一部を安価に手がけることが多い。かといって企業規模に限りがあるため、事業全体を直接請け負うことができず、結果として利益を上げることが困難だった。そんなジレンマからの脱却を図るべく、中小IT企業が手を組んで立ち上がったのがGICTである。実際、アミックからの受注案件がもたらす利益は、「従来に比べて桁が1つ違っていた」とのことだ。

■県内の企業に対する販売拠点としても機能

 システム開発では大手企業は人材不足に悩まされがちで、人材確保や外注に積極的だ。とはいえ、仕事を請け負える企業に次々と発注するわけではない。信頼できて、一定の仕事量をこなせる企業であることが求められており、GICTはまさにこうした大手企業のニーズに応える組織……のはずだった。

「実は、組合は責任の所在が曖昧になってしまい、信用できない面があるという大手企業の反応が多かったのです。これは意外でした」

 そこでGICTは路線を変更し、幹事企業が窓口となることで責任の所在を明確化し、会員企業と連携して案件を請け負う仕組みとした。目指したのは“信頼できて、一定の仕事量をこなせるだけの規模を持った企業体組織”。実際に第1号案件でもユリーカが幹事企業となって会員企業と連携している。

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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