【日本経営品質賞:2】携帯販売店の人を育てるコンサルタント 画像 【日本経営品質賞:2】携帯販売店の人を育てるコンサルタント

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■販売員研修からマネジメントを手掛けるコンサルティングへ

 ピアズなどが派遣するヘルパーが存在することで、携帯電話の販売店では店員が契約手続きの業務に専念できる。それは、同時に店員のセールス能力が弱体化することでもあった。この状況を疑問視した桑野氏は、2009年頃からビジネスを訪問型の販売員研修へとシフトしていく。その内容はかつて先輩スタッフが後輩を教えたのと同じOJT方式で、ピアズの社員が実際に売り場に立って、販売手法やスキルを自分の身をもって教えるというものだった。

 この時、販売員研修へとビジネスをシフトした理由としては、携帯電話の販売事業における環境の変化もあったという。契約条件などが以前よりも複雑になり、スマートフォンの登場で端末に対する知識も必要となった。こうした状況の変化に販売店が単独で対応するのは無理がある。そこに、“スマートフォンのピアズ”と強みを打ち出して、販売のレクチャーをするビジネスモデルを立ち上げたのだ。

 実際にOJTを受けたことで、その販売代理店の販売員は売上を伸ばすことに成功する。ただ、桑野氏にとって想定外だったのは、その効果が一過性なことだった。レクチャーを受けた販売員は一時的にモチベーションを高められたが、次第に販売意欲が失われていく。その原因は管理者のマネジメント能力にあったと、桑野氏は話す。販売店ではセールスにおける優秀なプレイヤーが管理者となるが、彼らにはマネージャーとしての経験が不足していた。

 これを受けてピアズはいよいよコンサルティング業務に舵を切る。それは、桑野氏が起業してからずっと思い描いてきた組織の理想像をもって、“通信業界の変革”へと足を踏み出すための第一歩だった。

■お客様のありがとうを造花で見える化するアイディア

 ピアズが提供するカリキュラムは、今までの取り組みの集大成となるものだ。例えば、従業員のマネジメントは副店長に専任させて、彼らを弟子とするOJT型のレクチャーを行う。その副店長のフォローがピアズの役割だ。どうすれば、成長を実感させ、顧客満足度の見える化を実現でき、ESを高められるかを一緒になって考える。

 その一方で販売プロセスマネジメントのための仕組みも提供している。セールスの知識とスキルを教えるEラーニングの動画は、ドラマ風やバラエティ仕立てにして楽しく観られるものに。従業員のコミュニケーション用の掲示板には、ピアズのコンサルタントも積極的に書き込みを行う。ほかにも、販売支援や人事評価などの仕組みを提供するITソリューションは、ピアズが自ら活用してきたツールをベースとして独自に開発したものだ。

 コンサルティングを行った販売代理店の一つでは、訪問客のありがとうを見える化しようと、店の一角に置かれた花瓶に造花を挿した。サービスに満足した訪問客は、それを従業員のいるカウンターの上に置く。昨日は1本、今日は2本とその花を胸に挿しているうちに、従業員の意欲は目に見えて変わっていった。

「数字しか求められない時代の中で、自分たちが何のために働いているのかを疑問に思う人が増えています。仕事がハードでやりがいを感じなければ、辞めてしまうのは当たり前です。そこで給料が1万円増えてもあまり変わりません。大切なのはマネジメントを根幹から変えることなんです」

■コーチングの先にある、人に寄り添うコンサルティング

 現在、ピアズでは“通信業界のベストパートナー”というビジョンを掲げ、店頭販売における強みを武器に、NTTドコモを中心としたコンサルティングを展開している。

 大きな企業を相手にする上で重要となるのは、部署ごとのミッションを見える化することだと桑野氏は言う。店頭販売におけるセールスにおいて、キャリアが望むミッションは部署によって異なる。その中でピアズが行うのは、それらをどうすれば顧客目線で満足できるように提供できるかを、店舗を統括する営業ラインとともに考えることだ。そこには、“お客様に寄り添う”という伝統のスタンスが生きている。

「本社から支社、支社から支店に至るまでの距離の遠さが、指示や情報の流れを悪くしています。それを解決するには、縦横無尽にクライアントの中を走り回って、まずは情報収集をすること。その上で、部署ごとの部分最適なオーダーを全体最適へと整理して、優先順位を付けることが、今の我々の仕事ですね。分析をして提案する軍師ではなく、一緒に動いて考える。そのためには結局、高いモチベーションとホスピタリティをもって、“お客様に受け入れられる人”であることが大切なんです」

 目先の販売台数を求めがちな業界において、ヒューマンリソースマネジメントによって中長期的な成果を上げようというピアズの取り組みは、当初は販売代理店の理解が及ばなかったという。それが、総務省のタスクフォースによる「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」がもたらした価格競争終息の機運もあって、近年急速に注目を集めるようになった。大量生産による価格競争の先にある、CSとESを重視したビジネスモデル。そのあり方は他のサービス産業においても、今後重要なものになるだろう。

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《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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