【IoTツール最新事情:後編】中小経営者が今一番使いたいツール 画像 【IoTツール最新事情:後編】中小経営者が今一番使いたいツール

IT業務効率

【記事のポイント】
▼“業務の見える化”は、社内の改善活動に結び付けられることが重要
▼検査表の作成など、付加価値をもたらすところに役立つツールが必要
▼400万円の工作機械より、100台のiPadがもたらすIoTが役に立つ


 人手不足や従業員一人あたりの生産性改善などの問題から、製造業におけるIoTの導入が進んでいる。このような状況を受けて、経済産業省製造産業局が設立した「ロボット革命イニシアティブ協議会」では、「第1回 中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」を開催。応募のあった106件のツールについての情報を公開した。

 記事後編では引き続きイベントで審査員を務めた、法政大学大学院の松島桂樹教授、錦正工業株式会社代表取締役の永森久之氏、株式会社今野製作所代表取締役の今野浩好氏、株式会社浜野製作所代表取締役CEOの浜野慶一氏、武州工業株式会社代表取締役の林英夫氏に、応募ツールについての講評とイチオシツールについて、それぞれ話を伺った。

■IoTツールを費用対効果で見るのは時代遅れ

――松島教授は以前にIT投資マネジメントに関する本をご執筆されています。中小企業における IoT投資において、そのコストは適切なものになりつつあるのでしょうか?

松島 よく、「IoTは効果が分からない」という話を聞きますが、実は費用の方がもっと分からないんです。電話代や電気代、さらには従業員の福利厚生など、どこまでを含めるかも曖昧なまま、採算性の話をする方がおかしいですよね。効率化によって生まれた余裕についても、従業員を遊ばせているだけだと思う経営者には、何の意味もありません。

 でも、中小企業の経営者はIoTの導入で何が起きるか、感覚的に理解していると思うんです。だから、全部を採算性で評価するというのは、実はIoTでは時代遅れなんですよ。予算が100万円だったら、200万円だったら、やってみようと思えるか? そういう感覚のほうが大事だと思います。これが大企業だと数字が企画書としてあがってくる必要がありますし、そこで採算性が見えなければ決済は下りないので、また話は変わってきますけれど。

 あとは、もう一つ言いたいのが、業者に見積もりを依頼するのは止めた方がいいということです。数百万の明細が届いて、費用対効果の話になりますから(笑)。

――松島教授のイチオシツールはそうして選ばれたのですね。コストに加えて、経営者の心をくすぐるツールである必要があるという。

松島 大事なのは価格が妥当なことと、経営者が直感的に効果を理解できるということだと思います。センサーでこういう数値が測れますということではなく、具体的に何が起きるかという結果まで分かることですね。例えば、iPadを製造装置の操作パネルにする「irBoard」などは、繋がっているだけでは何の意味もないので、機械の見える化という利便性がすぐに分かります。

 また、これからの中小の製造業は、自分たちがシステムを作れる必要があると思うんです。それが、基幹情報システムを構築する「Contexer」を挙げた理由ですね。

――ITやIoTのソリューションを内製する必要があるということですか?

松島 広い意味では内製と言えるかもしれません。自分たちが企画したものの制作を外部に頼むのは勿論アリです。でも、丸投げはいけません。必要なのはそういうことを考えられる支援ツールで、業務の見える化をすることを、社内の改善活動に繋げることが大切なのではないでしょうか。

■消費電力のモニターなど、従業員の意識を変える見える化が重要

――永森様のイチオシツールは、松島先生のお話にあったように、効果の見えやすいものが中心という印象がありました。こちらは、どのような基準から選ばれたものなのでしょうか?

永森 そうですね、製造設備の信号灯をモニタリングする「MCFrame SIGNAL CHAIN」は、皆さんがその使い道をイメージしやすいだろうという思いから選びました。「Wireless Visual Solution」もセンサーで現場の状況を把握するという目的がはっきりしていたことがありますが、いざとなったら人が駆け付けるというオプションまであって、そこまで具体的なビジネスを展開しているのが凄いですよね。何かの装置を売ろうとしたときに、その保守まではなかなか手が回りませんし、自社の人を配置するよりも安価になるのではないでしょうか。

 先ほど、費用対効果というお話がありましたが、全体的にコストが高い印象がありました。ただ、僕はもっと直感的に、自分が欲しいかそうでないかで考えますが、それも時々の価値観で変わると思います。以前にベンダーさんから電力の見える化をする装置を提案されたことがありましたが、いやそんなの見たくないと(笑)。そこに何百万というお金は出せませんと話しましたが、今では買い切り50万円だったらアリかと思っています。消費電力を可視化するだけのものだとしても、それで従業員の意識が変わるかもしれません。お客様が来たときにも、いろいろ挑戦している会社だと思ってもらえるでしょうし、それも一つの付加価値じゃないですか。ただ、毎月費用がかかるのは困るので、できれば買い切りであって欲しいですね。

今野 一つ一つが安くても、いっぱい使ったら大変なことになってしまいますよね。

永森 細かく費用対効果の計算をしているわけじゃないですけど、そこはもったいないと感じてしまいます。ただ、私もスマホで月額料金のアプリを使っていますので、便利だと思えるものなら、安いと感じるかもしれません。そこは個人差であって、感覚的なところは大きいと思います。

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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