公共工事激減でも建設業が元気なまち(岩手県紫波町) 画像 公共工事激減でも建設業が元気なまち(岩手県紫波町)

インバウンド・地域活性

 かつて地域経済を潤してきた公共事業は激減。景気悪化や人口減少、高齢化等により自治体財政も悪化する中、地方の衰退はかつてないほど深刻さを増しています。そんな中、持続可能な地域経営のあり方として新たな公共、「公民連携」の手法を取り入れ、町の負担を最小限にする「稼ぐインフラ」投資により税収を増加、公共事業に依存しない地元建設業の育成につなげた町があります。

 紫波町(しわちょう)は岩手県中部、盛岡市と花巻市の中間に位置にする農業を基幹産業とする人口3万人余りの小さな町です。近年はJR紫波中央駅前の都市整備事業「オガールプロジェクト」が補助金に頼らないまちづくりと話題を呼び、税収は2005年度の27.7億円から2015年度は30.7億円へ約3億円増加。住民や民間企業が積極的に公共に参加するその手法に注目が集まっています。

 1998年、町は役場庁舎などの公共施設の整備を目的として駅前に10.7hの土地を取得しましたが、長い間開発されず塩漬けとなっていました。オガールプロジェクトは公民連携という新たな手法を用い、その土地の開発を図る都市整備事業。駅前に広がるシンボル広場の両側に役場新庁舎のほか、図書館や子育て応援センター、産直などの施設で構成される官民複合施設「オガールプラザ」など6つの事業棟を配置。その外側には町が長年取り組んできた循環型のまちづくりの理念を反映したエコタウンを形成する分譲地を整備し、県のフットボールセンターを誘致。整備された施設には民間投資による日本初のバレーボール専用体育館やホテルが入る民間複合施設もあります。

 また、統一された美しい町並みを実現するため、開発区域にデザインガイドラインを策定。開発では見た目だけでなくライフスタイルデザインを重視。何が欲しいかではなく、ここで何がしたいかという視点で、自然豊かな農村の田園風景と都市が共生するまちという開発コンセプトを導き出し、多くの木質材料を活用するなど個性ある街の魅力を生み出しブランド化に成功。これにより年間90万人を超える交流人口がここに生まれ、分譲地には若い世代も移り住んでいます。

 こうした公民連携のまちづくり手法は地元工務店にも変化をもたらしています。公民連携の事業ではPFIなど多様な発注方式や循環型の町づくりに合致した工法へ対応することで受注機会の拡大が見込まれることから、民間事業者のレベルアップが図られ、産業の育成にもつながっているのです。

《水津陽子》

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