【IoTツール最新事情:前編】本音で語る、中小企業のイチオシとは? 画像 【IoTツール最新事情:前編】本音で語る、中小企業のイチオシとは?

IT業務効率

【記事のポイント】
▼中小企業におけるIoTツール導入の課題は、その情報不足にあり
▼スマホの活用で、IoT導入のコストやハードルは大きく下がる
▼IoT導入を上意下達で進めると、従業員にとっては監視ツールとなる
▼工程進捗管理を自動化して、人力による管理から精度を高める
▼技術を一度動画やデジタルデータに落とし込み、それを若い人へと承継する


 中小の製造業で人手不足や生産性向上が叫ばれる中、その対応策としてIoTが注目されている。株式会社MM総研が2017年1月に発表した「IoT導入状況調査」によると、IoTを導入している企業における業種割合では、製造業が40.6%と最多の結果に。製造現場が取り組んできた改善活動における、IoTとの親和性の高さを指摘している。

 とはいえ、IoTの導入をゼロからカスタムオーダーすると、そのコストは膨大なものとなる。また、IoTが事業にどのようにして貢献するのか、イメージできない経営者もいることだろう。そこで注目したいのが、ロボット革命イニシアティブ協議会の主催で2016年に開催された「第1回 中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」だ。

 このイベントでは中小製造業に向けたIoTツールを公募。集まった106件のツールを“スマートものづくり応援ツール”として、同協議会の公式ページで整理した情報を公開している。さらに、法政大学大学院の松島桂樹教授をはじめとするメンバーによる審査も行われており、各審査員の評価が高かったツールが“イチオシツール”として発表された。

 では、これらのツールを利用すれば、中小製造業ではすぐにでも生産性向上などの恩恵を得ることができるのだろうか? こうしたIoTツールの現状について、松島教授のほか、錦正工業株式会社代表取締役の永森久之氏、株式会社今野製作所代表取締役の今野浩好氏、株式会社浜野製作所代表取締役CEOの浜野慶一氏、武州工業株式会社代表取締役の林英夫氏ら審査員の方々に、座談会という形で話を伺った。

■使えるツールは存在するが、課題は価格とマッチング

――今回のイベントで皆様は応募のあった106件のツールを評価されました。旧来の工作機械を使い続けている企業、最新の工作機械の導入に積極的な企業のそれぞれにおいて、その生産性を向上できるようなIoTツールは揃いつつあるのでしょうか?

松島 安価で、技術を必要とせず、導入のハードルも少ない。そういう中小企業での利用に向いたツールは実際にあります。ただ、テレビで宣伝しているわけでもなく、メディアにも掲載されていないので、自社に向いたツールを探すための手間とコストはまだまだかかりそうです。こうしたベンダーにおける情報発信力、マッチングにおける課題が、今回のイベントで見えてきたことの一つでしたね。

林 IoTは目的ではなく手段なので、ツールを探す上では、まず事業において何が課題なのかを知っておく必要もありますよね。ITの導入というバックグラウンドがない会社であっても、自社でやりたいことが見えているなら、導入したいと思えるツールはあると思います。ただ、それには何か失敗したら辞められるという、手頃な費用感が大事ではないでしょうか?

 私のイメージですと、これからの時代は囲い込みでは駄目ですね。1社のシステムを入れたら、そこのサーバーを、ツールを必要とするのは間違いです。そういう意味合いで汎用的なツールが、プラグアンドプレイで使える環境が整備されることが必要になると思われます。

永森 費用感が大事というのは同感ですね。私もツールを審査する上で、やっぱり気軽に使うにはコストが高いという印象を受けました。先ほど林社長から目的があって初めて使いたいツールが見えてくるというお話がありました。ただ、自分でも日頃からアンテナを張って、ツールを探していますが、その中で目的が生まれるものもあると思うんです。今までできないと思っていたことが、ツールを目にしたことで、「あれに使えるのではないか」と気づくこともありますね。

――実感のこもっているお言葉でしたが、アンテナを張っている中で、新たな目的を思いつかれたことはあったのでしょうか?

永森 ベンダーのサポートにはよく、「そんな使い方は想定していない」と言われるんですけどね(笑)。でも、本来の用途でなくても、運用でカバーするというのはよくやっています。今回いろいろなツールを集めて紹介できたのは、全国の中小製造業にとって、そうした気づきを得るためのよい機会だったのではないでしょうか。

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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