東京都のインフラ整備で問われる事業管理能力、ほんとうに大丈夫なのか? 画像 東京都のインフラ整備で問われる事業管理能力、ほんとうに大丈夫なのか?

制度・ビジネスチャンス

 東京都が、公共事業やさまざまな施設整備で事業の管理能力を問われる事態が相次いでいる。昨年8月に小池百合子知事が就任して以来、築地中央卸売市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転凍結や2020年東京五輪の競技施設計画の見直しなどが続いた。小池都政は都内外からの多くの注目を集めているだけに、今後の予算執行では、よりきめ細かな対応が欠かせなくなっている。
 豊洲市場や五輪施設以外でも、都立広尾病院(渋谷区)の移転・建て替え計画がつまずいた。都は本年度、現病院の移転・建て替えを前提に新病院の基本構想策定に着手する予定だったが、外部有識者とつくる基本構想検討委員会などで反対意見が相次いだ。
 重要度の高い公共施設の再編などでは、議論の場を公開した上で、まず建て替えの妥当性や代替案の可能性などを審議するのが一般的。自治体の庁舎建て替えなどではよく用いられる検討手法だが、広尾病院の移転・建て替えでは、この計画段階の不透明さなどが問題視された。検討委は移転・建て替えを白紙撤回し、同病院に求められる機能の議論をあらためて公開で行っている。
 市街地再編を伴う大規模なインフラ整備は、事業が複雑で関係権利者も多岐にわたり、事前の協議・調整は一層難しくなる。
 都は、地域分断や交通渋滞の要因になっている鉄道の踏切除去に向け、JR埼京線十条駅(北区)付近を高架化する計画をJR東日本と検討中だ。昨年開いた住民説明会で「事業費は高架化が340億円、地下化が655億円。事業期間は高架化が11年、地下化が13年」と高架化の優位性を説明した。
 ただ、北区によると「町会、自治会、商店街、PTA、大学などが入った十条地区まちづくり全体協議会で構造形式を判断するような話し合いはしていない」という。高架化の計画案は地元との話し合いで決まったわけではなく、住民の間には依然、高架化ではなく地下化を望む声があるのが実情だ。事業者側には計画検討の段階で十分な説明責任を果たすことが求められる。
 道路事業では、関東地方整備局と高速道路会社が進めている東京外かく環状道路都内区間(練馬区~世田谷区、延長約16キロ)の整備で、都も一部協力している区分地上権の設定などに関する交渉に時間を要している。
 本線トンネルの大半は用地取得の不要な大深度地下に構築するが、ジャンクション(JCT)やインターチェンジ(IC)は地下の浅い部分に整備するため区分地上権の設定が必要になる。昨年11月末時点の区分地上権取得率(面積ベース)は59%にとどまる。この影響もあって、具体的な開通時期が見通せない状況にある。
 東京のような大都市で行われる事業では、一つの計画の不備や遅れが多方面に影響を及ぼす可能性を抱えるだけに、事業者の責任も重い。小池知事は、本年度浮き彫りになった課題を教訓に、説明責任や情報公開などで細心の注意を払っていく方針だ。

東京都/インフラ整備、問われる事業管理能力/説明責任や情報公開不可欠

《日刊建設工業新聞》

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