グッドデザイン賞から考える、中小企業とデザインの緊密な関係 画像 グッドデザイン賞から考える、中小企業とデザインの緊密な関係

制度・ビジネスチャンス

「この構造を使えばコードレスの照明器具が実現できると考えたときに、思いついたのがダイニングテーブルの上に置けるタイプ。一見して使い方がわかり、コードがなく、上から吊るす必要もなく、食べ物や飲み物と一緒にさり気なく置けるという利用シーンをイメージしたところ、ガラス製でワインのボトルのようなデザインと、『Bottled(ボトルド)』というネーミングになりました」

 「マスキングカラー」の塗ってはがせる誰もが手軽に使える特性、「Bottled」のコードレスで置く場所を選ばない性質を、小関氏は大胆にデザインに取り入れる。そこで大事にしているのが、「技術的背景を含めた商品のストーリー性も意識して、デザインすること」だ。

「グッドデザイン賞が製品だけではなく、サービスやビジネスモデルといった姿・形がないものも対象にしているのは、現在ではデザインの先に見える商品のストーリー性も評価されているからだと私は考えています」

■自治体が中小企業とデザイナーのマッチングを仕掛ける

 太洋塗料では“塗ってはがせる塗料”で培った技術力を、B2Cの商品開発につなげることで、脱下請けと事業の拡大を実現している。それを可能にしたのは小関氏の存在だ。では、両者はどのようにして出会ったのだろうか?

「きっかけは東京都が主催する『東京ビジネスデザインアワード』です。これは、都内の中小企業とデザイナーのマッチングを仕掛けるもので、中小企業が自社の商品なり技術なりを公開し、その中から新規事業につながりそうだと感じたものが見つかれば、デザイナーが事業プランを提案します。13年に第1回が開催されたときに太洋塗料を知り、私が『マスキングカラー』を企画して提案したところ、テーマ賞を受賞し、商品化に向けた協業が実現したのです」

 知育玩具「パイプグラム」の武州工業についても、その出会いは「東京ビジネスデザインアワード」でのこと。自分の所属する自治体が、このような企業とデザイナーとのマッチングに力を入れているか、中小企業は知っておく必要がありそうだ。

 今まで下請けを手掛けてきた企業が、いきなり自社でデザインを手掛けるのはハードルが高い。そこで重要なのが協業できるデザイナーを見つけること。その上で、今のデザインの潮流の中では、物語の背景にあるストーリーを取り込むことが、評価のカギとなりそうだ。

<Profile>
小関隆一(こぜきりゅういち)さん
多摩美術大学美術学部デザイン学科インテリアデザイン専修卒業後、I.D.K.デザイン研究所に在籍し、ヨーロッパにまで活躍の幅を広げているプロダクトデザイナーの喜多俊之氏に師事。第2デザイン室室長を歴任した後、2011年に独立してRKDS(リュウコゼキデザインスタジオ)を設立。商品デザインのみならず、商品のコンセプト作りにも取り組み、中業企業とのコラボで手掛けた商品はグッドデザイン賞、iFデザイン賞、東京ビジネスデザインアワードなど受賞多数。

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《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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