国交省が労務単価3.4%、技術者単価3.1%引き上げ、3月1日から適用 画像 国交省が労務単価3.4%、技術者単価3.1%引き上げ、3月1日から適用

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 国土交通省は10日、公共事業の積算に使う新しい公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価を発表した。全職種・全国単純平均で労務単価は3・4%、技術者単価は3・1%それぞれ引き上げ、3月1日から適用する。石井啓一国交相は同日の閣議後の記者会見で「公共事業の円滑な執行に万全を期し、施工時期の平準化を加速させ、技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう業界団体に適切な賃金水準の確保を要請する」と述べた。=2面に関連記事、11面に新たな労務単価の一覧
 □労務単価/18年ぶり1万8000円台□
 直轄工事の積算に適用する公共工事設計労務単価は、全職種の加重平均(日額)で1万8078円となった。1万8000円台は1999年以来18年ぶり。東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)は全国平均に上乗せし1万9814円(3・3%上昇)とした。通常は4月からの新単価の前倒し適用は4年連続。施工時期の平準化策を盛り込んだ16年度第3次補正予算を円滑に執行する狙いだ。
 労務単価は、国交省と農林水産省が毎年10月に実施する公共事業労務費調査の結果を反映。13年4月からは実勢の反映に加え、技能労働者の社会保険加入を徹底するため法定福利費相当額を加味する形で改定してきた。13年4月に全国単純平均で過去最大幅となる15・1%(被災3県21・0%)の引き上げを実施。その後も14年2月、15年2月、16年2月と引き上げている。
 今回も同様の方法で新単価を決定。対象51職種のうち、サンプル不足で未設定となった職種を除く48職種について都道府県単位で単価を設定した。上昇に転じる前の12年度単価と比較した上昇率は、全国平均が39・3%。被災3県平均が55・3%となっている。
 地域ブロック別では、関東や近畿など都市部の上昇率が低い一方、北海道・東北、九州・沖縄、北陸、四国が4%台の伸び率になるなど地方部で上昇幅が大きくなった。職種別の上昇率は、左官が3・4%で、大工、とび工、型わく工、鉄筋工がそれぞれ3・3%。一方、作業員や運転手の上昇率は低く、国交省は「手に職のある職人の賃金が他の職種と比べて大きく上昇している」(労働資材対策室)とみている。
 震災後に入札不調の発生率が高まった被災3県では、13年4月の改定から一部職種の単価に上乗せ措置を導入し、円滑施工につなげている。入札不調は減少しているが、復興事業の執行に万全を期すため、被災3県の単価上乗せ措置は継続。今回の県別の上昇率は岩手が3・6%、宮城が3・0%、福島が3・4%となっている。
 熊本地震の被災地で復旧・復興工事が本格化している熊本県は4・7%の上昇。国交省は労務費の特別なモニタリング調査を実施中で、定期的に賃金実態を調べて推移を把握し、その結果に応じて労務単価を機動的に改定していく。
 サンプル不足で単価を設定しなかったのは、前回と同じく屋根ふき工と建築ブロック工に、今回タイル工が加わり3職種となった。
 国交省は実勢を反映させた新単価を機動的に取り入れることで経済の好循環につなげたいとし、地方自治体なども発注工事に迅速に適用するよう要請。建設業団体には新単価を踏まえた技能労働者への適正な賃金支払いを要請する。
 □技術者単価/全職種平均5年連続上昇□
 17年度設計業務委託等技術者単価の全20職種の平均は前年度より3・1%上がって3万6580円となった。業務別の平均は設計業務(7職種)が4万4857円(2・2%上昇)、測量業務(5職種)が3万0040円(5・6%上昇)、航空・船舶関係業務(5職種)が3万4180円(3・7%上昇)、地質調査業務(3職種)が3万2167円(1・4%上昇)。
 20職種のうち、日額が最も高いのは設計業務の主任技術者の6万4300円。伸び率が最も高いのは測量技師の9・2%だった。整備士と地質調査の単価は前年度から据え置いた。
 技術者単価は、国交省が発注する公共工事の設計業務として実施するコンサルタント業務、測量業務などの積算に用いるもので、毎年実施している給与実態調査結果に基づいて決める。全職種平均の単価は5年連続の上昇。今回の改定で12年度単価に比べて18・9%上がったことになる。
 単価は、所定労働時間内8時間当たりの基本給相当額、諸手当(役職、資格、通勤、住宅、家族、その他)、賞与相当額、事業主負担額(退職金積立、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、児童手当)で構成。時間外、休日、深夜の労働に伴う割増賃金、各職種の通常の作業条件や作業内容を超えた労働に対する手当は含まれていない。
 このうち、割増賃金の算出に用いる「割増対象賃金比」は、20職種中3職種が16年度に比べて上昇。設計業務の主任技師が45%から50%、航空・船舶関係の整備士が40%から45%、測量船操縦士が50%から55%と、それぞれ5ポイントずつ上がった。割増賃金は、各単価を1時間当たりの額に割り戻した上で、時間数と割増対象賃金比を掛けて算出する。
 今回の単価改定について建設コンサルタンツ協会の長谷川伸一会長は「5年連続で引き上げとなったことは喜ばしい。将来にわたり優秀な技術者を確保するため引き続き努力を払っていく。各発注者には、技術者単価引き上げを反映した適切な発注をお願いしたい」との談話を発表した。
 《各職種の技術者単価(基準日額、カッコ内は割増対象賃金比)》
 ■設計業務
 △主任技術者=6万4300円(50%)
 △理事、技師長=6万0400円(45%)
 △主任技師=5万1200円(50%)
 △技師(A)=4万5500円(50%)
 △技師(B)=3万7200円(50%)
 △技師(C)=3万円(50%)
 △技術員=2万5400円(55%)
 ■測量業務
 △測量主任技師=4万1400円(55%)
 △測量技師=3万3300円(55%)
 △測量技師補=2万6900円(50%)
 △測量助手=2万6800円(55%)
 △測量補助員=2万1800円(55%)
 ■航空・船舶関係
 △操縦士=4万5900円(35%)
 △整備士=3万6000円(45%)
 △撮影士=3万4100円(50%)
 △撮影助手=3万円(50%)
 △測量船操縦士=2万4900円(55%)
 ■地質業務
 △地質調査技師=4万0900円(50%)
 △主任地質調査員=3万2400円(50%)
 △地質調査員=2万3200円(55%)

国交省/労務単価3・4%、技術者単価3・1%引き上げ/3月1日から適用

《日刊建設工業新聞》

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