地方の工事減少深刻-10年で出来高4割減も、東京一極集中が強まる 画像 地方の工事減少深刻-10年で出来高4割減も、東京一極集中が強まる

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 地方の建設会社が工事量の地域間格差の拡大にあえいでいる。国土交通省の建設総合統計によると、工事の出来高は、地方へいくほど減少幅が大きくなる傾向が見られ、中には10年前に比べて4割近く落ち込んだ地域もある。公共工事前払金保証事業会社の16年4~12月の統計でも請負金額の減少率が前年に続き高い地域が少なくない。地方の実情に配慮した公共事業予算傾斜配分を求める声が今後大きくなりそうだ。
 建設総合統計は、国内の建設活動を工事の出来高から把握することを目的に国交省がまとめている。建築着工統計調査と建設工事受注動態統計調査の工事費を着工金額と捉え、出来高を推計する。
 北海道と沖縄を除く8地域(東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州)でそれぞれ、15年度の出来高が最も少なかったのは、▽秋田▽山梨▽富山▽岐阜▽奈良▽鳥取▽徳島▽佐賀-の8県。10年前の05年度の出来高と比較すると、8県とも2桁の減少率となった。奈良は39・0%減と4割近い大幅減になっている。
 これに対し、東京の出来高の減少率は5%台にとどまり、東京以外の地域の工事量の縮小が著しい状況が浮き彫りになる。東京の出来高に対する比率を05年度と比べると、鳥取は22分の1だったのが28分の1にまで低下、奈良は13分の1だったのが20分の1の水準に縮小した。
 公共工事の請負金額の減少も続いている。東日本、西日本、北海道の前払金保証事業会社3社が保証を扱った工事などの請負金額から、全国建設業協会(全建)が集計した都道府県別の公共工事請負金額によると、16年4~12月の請負金額が前年同期を下回ったのは17県。うち8県は減少率が2桁となった。
 請負金額を発注機関別に分けて見た場合、前年同期を下回ったのは、国が20都府県(減少率2桁は10県)、都道府県は14府県(同6府県)、市町村は30道府県(同16府県)。地域建設会社の受注に占める割合の大きい市町村発注工事の請負金額が減少している地域が多い。市町村からの請負金額は14年4~12月との比較でも減少が30道府県(同21道府県)に達している。
 16年度は国の補正予算の規模が大きく、第3次補正までの国交省関係分は事業費ベースで約1・7兆円。うち第2次補正分約1・4兆円については、地域建設会社に配慮して自治体の事業への配分に軸足が置かれ、16年度中の工事発注を目標に手続きが進んではいる。ただ、これから2020年東京五輪に向けた関連施設や都心の大規模開発事業がさらに活発化すれば、工事の東京一極集中が一段と進む可能性もある。
 インフラの整備・維持管理とともに災害対応や除雪などの役割も担う地域建設会社が職員や重機を維持していくために必要な受注量をどう確保するか。地域に必要な工事量や配分のあり方をめぐる議論が活発化しそうだ。

地方の工事減少深刻-10年で出来高4割減も/東京一極集中強まる

《日刊建設工業新聞》

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