【社歌コン 応募社の横顔:25】ラップで社員教育-福島のリサイクル業者 画像 【社歌コン 応募社の横顔:25】ラップで社員教育-福島のリサイクル業者

人材

 HANJO HANJOでは企業のコミュニケーションを盛り上げるものとして、社歌に注目してきました。その一環として実施したのが、企業の想いが詰まった社歌が主役の動画を募集する「中小企業 社歌コンテスト」です。ご応募いただいた社歌の背景には、従業員と関係者との交流など、さまざまなエピソードがありました。

*応募&投票期間は終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

■従業員の揺れる心を歌で一つにまとめる

 福島県浪江町は東京電力福島第一原子力発電所の事故により、その全域が避難指示区域となっています。地震や津波で建物が倒壊し、町内にあった多くの企業が移転を余儀なくされました。総合自動車リサイクル業者の株式会社ナプロアース(旧ナプロフクシマ)もその一つです。

 ナプロアースには東日本大震災前に作った社歌があります。従業員達から部門ごとに歌詞を募り、それを代表取締役社長の池本篤さんの友人が歌にしました。それは、きつい、汚い、危険という、いわゆる3Kのイメージのあるリサイクル業にあって、少しでも楽しく仕事をしようという池本さんの願いから生まれたものだったといいます。

 しかし、本社機能を伊達市に移し、社名もイメージカラーもすべてを変えて心機一転したときに、震災前にいた従業員の9割が会社を去っていました。厳しい状況の中、池本さんが行ったのが、ホームページによるイメージソングの募集です。

「正直に言って、当時は会社がズタズタでした。こういうときは社員が団結しないと、何をするにも力がわいてきません。できることが少ない中でも、残った社員を何とか元気づけたいと考えたとき、思いついたのが歌でした」

 こうして募集された歌の中から、採用されたのが「フクシマから逃げない理由」でした。それは、震災からの数年に渡る同社の歩みを振り返るとともに、自分たちのことを勇気づけてくれる歌だったと、池本さんは話しています。

■歌と漫画で行う、人材募集のためのイメージ戦略

 本社機能を移転するにあたり、同社が苦労したことの一つがリクルートの問題です。福島という地域全体が混乱する中、ナプロアースの求人には当初なかなか応募がなかったといいます。

 かつての仲間が避難によって散り散りになる中で、一人でも多くの人材を集めるにはどうすればいいか? そこで始めたのが、若い人に向けたイメージ戦略でした。同社のホームページには震災からの企業再建のエピソードや業務案内が漫画で掲載されていますが、これもその取り組みから生まれたものです。その中で一つの役割を果たしたのが、イメージソング「フクシマから逃げない理由」でした。

 震災前は30歳を超えていた同社の平均年齢は、イメージ戦略とともに行った採用によって大幅に若返りました。当時は震災からの復興の中、「社員教育をしている暇も無い状態だった」といいますが、そのツールとしても歌や漫画が役に立ったといいます。

■震災からの歩みと想いをラップで語り継ぐ

 2016年にナプロアースは社歌を一新しました。制作を担当したのは福島県南相馬市出身のラッパー・三島さん。池本さんから伝えられた同社の歩み、“和”を大切にする経営理念、震災復興への想いが、その歌ではラップで表現しています。

「こういうものはお堅い社歌にしても、若い人の心に入ってきません。ただ、普通にカッコいい歌として聴いてもらって、経営理念を振り返るきっかけになれば、それで良いと思っています」

 震災後の一連の取り組みを経て、同社の人材募集には自動車リサイクル業界を志望するのではなく、ナプロアースに入社したかったという応募者が増えたといいます。それは、そのまま同社の社風にも影響しているようです。自由度の高い社歌を公開したことは、こうした取り組みが許される会社だという認識に繋がります。それは、まず楽しいことを第一と考える、池本さんの思想にもマッチしているようです。

 震災が起きて途方に暮れる中で、ゼロからの再出発を果たしたナプロアース。その軌跡を忘れないために作られた社歌は、ラップという形を取ることで、若者にも受け継がれていく存在となりました。

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