中小企業の事業承継に、日本的M&Aという新たな選択肢 画像 中小企業の事業承継に、日本的M&Aという新たな選択肢

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼相談することを躊躇せずに、まずは専門家と話をしてみる
▼異業種間や地方企業による都市部の事業者の買収が増加傾向に
▼M&Aで一番注意が必要なのは“情報漏えい”による社内の反発


■事業承継としてのM&Aは公的機関やコンサルに相談できる

 中小企業における事業承継の問題が深刻化している。2016年に日本政策金融公庫総合研究所が行った「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」によると、中小企業経営者の2人に1人が自分の代で廃業を予定しているとのこと。現状でも相続税や株式譲渡、会社の経営状況といった問題から、親族内や社内での承継を望まずに、そのまま廃業してしまうケースが少なくない。

 このような状況の中、最近ではM&Aによって買収される中小企業が増えている。このケースで面白いのは、中小企業側が買収されることを望んでいること。つまり、事業承継の相手として買収される側が買い手を探すという、後継者問題が深刻な日本ならではのM&Aだ。

 中小企業のM&Aによる事業承継に詳しい山田ビジネスコンサルティング資本戦略本部取締役本部長の天野祐一郎氏によると、M&Aによる事業承継にあたっては、まず第三者に相談するのが重要だという。

「日本では経営問題を第三者に相談するという文化が、最近ようやく根付いてきたばかり。中小企業の経営者はM&Aについて誰かに相談することに抵抗を持つ方も多いですが、客観的かつ専門家的な意見を集めることは大切です」

 経営者に身近な専門家としては、税理士事務所や会計事務所が挙げられる。そのほか、地銀や信用金庫といった地元の金融機関や商工会議所に相談し、そこからコンサルティング会社を紹介してもらうことも可能だ。地銀の中には、直接M&Aのサポートを手掛けているところもある。

 また、事業引継ぎ支援センターを利用するのも一つの方法だろう。同センターは中小企業基盤整備機構が全国47カ所に設置する、M&Aにおいての中小企業の相談窓口だ。売り手と買い手の会社情報をデータベースに登録しており、マッチングの場としても機能している。同社資本戦略本部統括部長の奥村忠史氏によると、同センターは地元企業を存続させるために、「比較的小規模な会社であっても手厚く支援してくれています」という。

■M&Aが活発なのは異業種間、地方企業による買収も

 中小企業のM&Aにあたっては、「同業者、地元企業、取引先は避けてほしい」など、経営者側にさまざまな要望があるだろう。これらを元に交渉相手を探すのにかかる時間は約3ヵ月。株式譲渡までには、半年から一年ほどの期間が必要になるという。あまり材料を増やし過ぎても判断に悩んでしまうので、奥村氏は「まず2~3社に絞って会うのがベスト」と話す。

 では、中小企業がM&Aによる買収を望んだ時に、どのような企業がその買い手になるのだろうか?

「事業のポートフォリオを組みたいという企業ですね。『今のうちから他の事業にも手を伸ばしていきたい』と多角化を目指す企業が、M&Aの買い手になるケースが増えています」

《斉藤裕子/HANJO HANJO編集部》

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