書籍「世界を動かす地域産業の底力」に学ぶグローカル視点の重要性 画像 書籍「世界を動かす地域産業の底力」に学ぶグローカル視点の重要性

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼重要なのは“グローカル”な視点、地域資源や人材を活用して海外展開する
▼経営者が骨惜しみせずに海外や展示会をまわり、世界を見据えた視点を持つ


 広島県の南東部に位置し、備後地方を代表する河川・芦田川が流れる府中市。その産業の歴史は古い。「府中家具」と呼ばれる家具作りの伝統が江戸時代から続き、「府中味噌」で名高い全国有数の味噌の産地でもある。今も第2次産業の就業者が4割を超える、国内有数のものづくりの街だ。

 80年前にこの地でキルトや中綿を扱う繊維業者として出発した旭蝶繊維は、いまや世界的なワークウェアメーカーとして知られている。ほかにも、旧来の技術を様々な先端技術や製品に蘇らせ、世界展開に成功している企業は同市に多い。そこには一体どのような要因があるのだろうか?

 そのヒントを見出すことができる書籍が、2016年11月に刊行された『世界を動かす地域産業の底力 備後・府中100年の挑戦』(筑摩書房)だ。同市の地域企業を丹念に取材し、ものづくりの現場から”イノベーションの秘密”に迫った同書の著者である、福山大学教授の中沢孝夫氏に、その成功のヒントを伺った。

■グローカルに成功する企業の共通点

――本書では府中市で成功している、さまざまなモノづくり企業が取り上げられています。そもそも中沢さんは執筆にあたり、なぜ同市のモノ作りに注目されたのでしょうか?

中沢 きっかけは創業100年を超える府中の企業が集まる、「府中ハンドレッドクラブ」を取材したことでした。それで分かったのですが、府中市には100年以上の歴史を持つ企業が60社あります。「たった4万人の街にどうしてこれだけの古い会社があるのか」と思い、様々な企業への取材を続け、その原稿を今回本にまとめたわけです。

――中でも、地域の資源や人材を積極的に活用しつつ、海外展開をする“グローカル”な戦略に注目されているようです。

中沢 グローカルな戦略を導入している企業では、“商品開発とプロセスの合理化”が非常に進んでいるんです。カキ加工品の製造販売で全国シェアトップとなった「タカノブ食品」が、その良い例と言えるのではないでしょうか。同社ではカキフライを開発する際、クライアント企業のニーズに応じて様々な大きさの商品をそろえ、その厚みも細かに調整しています。

《本折浩之/HANJO HANJO編集部》

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