~日本式介護の輸出:2~アジア進出の実績が人材を循環させる! 画像 ~日本式介護の輸出:2~アジア進出の実績が人材を循環させる!

海外進出

【記事のポイント】
▼海外進出においては、政財界や各業界の有力者との人脈作りが大切
▼経済が成熟しつつあるタイでは、すでに介護人材の確保は困難な状態
▼新規での海外進出に待つ壁を、“実験”として正面から受け止める
▼日本の介護ソフトの賞味期限は中国で3年、タイでも5年!?


■タイ進出後、政財界や病院関係者との人脈作りに注力

 日本のみならず、多くの国で深刻な問題となりつつある高齢化。生産年齢人口の多い発展途上国においても、長期スパンで見れば経済成長とともに先進国と同様、少子高齢化に直面する可能性は高い。こうした状況を背景に、世界で注目を浴びているのが日本の高齢者向けサービスだ。

 2016年夏、政府主導によって高齢化が進むアジア地域に日本の介護システムを輸出する官民連携プロジェクト「アジア健康構想」がスタートした。このことも追い風となり、国内の介護事業者が海外へと目を向け始めている。こうした動きに先がけて、2003年からタイに進出。2016年にはバンコクで念願の介護入居施設を開設したのが、生活サービス事業の一つとして介護事業を展開する株式会社リエイだ。

 社員寮や食堂の管理・運営など、法人向け福利厚生サービス受託事業で業績を伸ばしてきたリエイ。2000年4月の介護保険制度施行と同時に介護事業へと参入。「介護事業では我々は後発組。日本国内に留まらず海外へと目が向いたのは、自然の流れでした」と、代表取締役社長兼会長の椛澤一氏は海外進出の理由を説明する。

「日本だけではいい人材は確保できないと、実際に参入してみて感じました。いわゆる3Kの介護の仕事をやりたがる日本人はどんどん減っていくでしょう。そこで海外人材を日本に連れてこようと考えたのです」

 候補に挙がったのはホスピタリティの面で優れているフィリピンとタイ。当時、日タイ間でFTA(自由貿易協定)の機運が高まっており、FTAを柱としたEPA(経済連携協定)によるタイ人介護士の日本受け入れの可能性がでてきたこと。さらには、リタイア後のロングステイの地としてタイに注目が集まっていたことが、タイへの進出を後押しした。

 2001年からタイへの視察を重ね、病院を回り、関係者やタイ保健省の人間とのネットワーク作りに力を注いだという椛澤氏。

「当時は“日本ブランド”というだけで政財界や関係者が歓迎してくれた時代です。タイでは高齢化への実感は殆どありませんでしたが、理念として賛同を得て、多くの人脈を形成できました」

 その中で得た人脈を駆使し、現地病院が経営する准看護師学校と提携して、タイ人介護士の養成を開始。平行して日本人を対象とした介護付サービスアパートメント運営(ロングステイ事業)を始める。しかし、結局FTAは実現しないまま、また当時の日本人高齢者の需要も追いついておらず、この事業は頓挫。しかし、そこで培った人脈が後々役立つことになる。

《尾崎美鈴/HANJO HANJO編集部》

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