インバウンドと30代の女性のニーズは被るらしい 画像 インバウンドと30代の女性のニーズは被るらしい

インバウンド・地域活性

 先日、女性をターゲットとするメディアの編集者から「どうもインバウンドの外国人と30代の女性のニーズは被っているらしい」という話を聞きました。その時は「へぇ、そうなんですか」と感心して終わったのですが、ふと思い返してみると符合する事例が多数思い浮かびます。

 インバウンド旋風が吹き荒れた2015年、外国人に人気の観光地が日本人の注目を集めるという現象が起きていました。日経MJではこれを「訪日リ・バウンド」と名付け、インバウンドがもたらす国内消費の波及効果を1面で紹介しました。

 爆買いの終焉とともにコト観光への注目が高まる中、インバウンド市場でも「SIT(スペシャルインタレストツアー)~そこでしかできない特別な体験(SIT)」を求める傾向はこの一年でより顕著になっています。

 東京五輪誘致が決定、初めて訪日客が1000万人を突破した2013年以降、世界一の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が選ぶ『外国人に人気の日本の観光スポットランキング』には毎年大幅な順位の入れ替わりと意外性のある観光地の名が見られます。2016年のトップ30には2年連続で京都の「サムライ剣舞シアター」や「ギア」が選ばれたほか、新たに千代田区の「アキバフクロウ」が9位にランクインしました。

 過去にもスノーモンキーで知られる長野県山ノ内町の「地獄谷野猿公苑」や京都の「嵐山モンキーパーク」、100匹のキツネが放し飼いされている宮城県白石市の「宮城蔵王キツネ村」など、ユニークな動物とのふれあいが人気のアニマル系のコンテンツはありましたが、近年は「アキバフクロウ」のように都心のカフェで動物に触れあえるスポットが続々誕生しています。

 「ハリネズミカフェHARRY」は2016年2月にオープン。同店があるのは六本木駅から徒歩1分という好立地のビルの2階で、同じビルの3階にはウサギ専門店「Ms.BUNNY」があります。実はハリネズミは元々このウサギカフェにウサギと一緒に置かれていたものです。それを訪れる人が珍しがるのを見て、ハリネズミカフェとして独立させました。オープンするとすぐに外国人に人気とメディアで紹介され、日本人も知る人気のスポットとなり、このためにわざわざ地方から訪れる人もいます。

 昨年の12月上旬のとある平日の午後、実際にハリネズミカフェを訪れると店内はすでに予約客ですでに満席でした。ハリネズミカフェを利用するには予めネットで予約を入れますが、土日祝は先まで予約で埋まっていることも多く、平日でも当日はすでに満席で埋まっていることも多く、予約を取るのも結構大変です。利用は1時間単位で、店内に入ると好みのハリネズミを選んで、手に乗せたり、エサをあげたりして触れ合えます。

 見ると店内にいる人の8割は若い女性で、男性がいても大半は女性とのカップル。女性は20~30代の若い女性が多く、外国人の比率は3割くらい。滞在中にも客は入れ替わり、新たに訪れる人を見ても若い女性か、カップル、外国人のいずれか。そういえば、宮城蔵王キツネ村に行った際も同じような比率だったことを思い出しました。

 そもそも訪日客のボリュームゾーンは20~30代。観光庁の「訪日外国人の消費動向」(平成28年7-9月期)で、年代別の構成比は「20代以下」(39.9%)、「30 代」(26.9%)で、20~30代で66.8%を占めます。また性年代別では「女性20代」(17.8%)、「男性20代」(13.9%)、「女性30代」(13.7%)がトップ3で、20~30代の女性が31.5%を占めます。

 そういう意味ではニーズは被って当たり前でもあるのですが、いずれにしてもインバウンドを狙うならこの20~30代のニーズを知ることが重要となります。そういえば、インバウンドで人気の観光地、世界遺産の軍艦島もタイの20~30代からの高い支持を得て長崎のインバウンドを牽引する役割を果たしました。

 訪日リピート率が約6割を占める今、ゴールデンルートから地方、モノ消費からコト消費へのシフトは必然の流れですが、今後はインバウンドが日本人女性の心をつかむ、ヒットの法則になるかもしれません。


●水津陽子(すいづようこ)
合同会社フォーティR&C代表・地域活性化・まちづくりコンサルタント。地域資源活かした地域ブランドづくりや観光振興など、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、執筆を行う。2014年地方創生法に関連し衆議院経済産業委員会に参考人出席。著書に『日本人だけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)などがある。



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《水津陽子》

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