日本茶のブランド統一、動き加速。覚えて⇒帰って⇒買って 画像 日本茶のブランド統一、動き加速。覚えて⇒帰って⇒買って

インバウンド・地域活性

 消費低迷が続く緑茶で、地域やJA単位で細分化されていた銘柄を一つに統一する動きが活発になっている。増加するインバウンド(訪日外国人)需要を取り込むため、インパクトのある〝ブランド″で訴求する狙いだ。昨年、日本政策金融公庫が実施した中国人旅行客を対象にしたアンケートでも「日本茶」は、入手する手段があれば自国でも購入したい農林水産物の中で魚介類、牛肉に次いで人気が高いだけに、訪日客のファンを増やし消費拡大につなげたい意向だ。
鹿児島県南九州市「知覧茶」 3産地 知名度重視
 市町村単位で全国一の茶の生産量を誇る鹿児島県南九州市は、今年4月から同市内の茶ブランド三つを統一する。これまで「知覧」「川辺」「頴娃(えい)」の3地域がそれぞれの名前でブランドを出していたが、今後は「知覧茶」として統一し販売する。

 ブランド統一の動きが始まったのは、07年から。茶の生産が盛んな三つの町が合併したことがきっかけとなり、「生産量の多さや味の良さをPRのポイントとし、市を挙げてしっかりとした売り込みをしていきたいと考えた」(同市)。名称などを協議した末、観光業の盛んな地域として全国的にも知名度のある「知覧」の名前を付けて売り出すことに決めた。

 4月の統一に併せて、同市商工会は16年6月から「知覧茶全国展開・販路拡大プロジェクト事業」を実施。11月にはブランドの統一ロゴマークを決定した。「三つの産地が協力し、どれが欠けてもならない」という意味合いを込め、3種類の緑色で茶わんの形を描いた。

 統一ブランドの活用に先駆けて、12月からは、同市内の茶屋「川口茶舗」でロゴマークが付いたティーバッグのセット(3個入り・100円)の販売を開始。手頃な価格と手に取りやすいサイズが観光客に受け、土産などを中心に1カ月で3000セットを売り上げた。

 ブランド統一後は東京都の百貨店など、消費の多い地域に販路を拡大していくことを検討。同市には年間で約3万人のインバウンドが訪れることから「ロゴマークのデザインとともにパッケージそのものを一新する動きがあり、その際英語や中国語での説明を加えたい」(同市商工会)とインバウンド需要の獲得にも意欲的だ。
静岡・11JA「揉一ひとえ」 富士・桜・・・観光意識
 世界文化遺産に登録された富士山などの観光で多くの外国人が訪れる、静岡県のJR静岡駅。駅構内の売店でひときわ目立つ土産が、華やかな「静岡茶」だ。御来光をイメージした富士山や桜など静岡や日本を連想させる絵柄をあしらう。「このお茶は富士山を有する日本一の茶どころ静岡県からお届けする自慢の一品です」と中国語で紹介する。他にも英語表記で、静岡茶をPR。価格は1袋(100グラム)で1500円。「購入者の大半は海外からの旅行客」(同店)と好評だ。

 静岡県は国内最大の茶産地。「掛川」「清水」「富士」など各地域のブランドが多数あった。しかし折からの消費低迷で、高級路線の茶は不振が続いていた。そこで今後のインバウンド需要を見越し、JA静岡経済連が旗振り役となり、県内の11JAを一つにまとめた静岡茶の統一ブランド「揉一(じゅういち)ひとえ」シリーズを2015年11月から売り出した。

 現在、3種類で展開。煎茶で、澄んだ香りと味が特徴の「山育ち」と、深蒸しした茶葉を使用した濃厚な味の「里育ち」、すっきりとして飲みやすい「富士山育ち」を用意。販売開始から1年で、「揉一ひとえ」を取り扱う店舗は静岡空港の土産店からスーパー、首都圏でのギフト販売など100店舗を超えた。「目指していた販路を着実に開拓できている」(同経済連)と手応えをつかむ。

 今後はより使いやすさを重視したティーバッグタイプや、水出しボトル付きのセットなどでの販売を強化する。経済連は「現在はギフト向けの規格や価格設定になっている商品が中心だが、もっと幅広く使ってもらえるようラインアップを増やしていきたい」と話す。
「輸出増」見据え
 日本茶は、インバウンド需要で中心を占める中国人訪日客に「自国で購入してみたい日本の農林水産物」として注目される。輸出戦略と絡め、農産物マーケティングに詳しい日本総研の三輪泰史シニアスペシャリストに動向などを聞いた。

 中国ではここ5年ほど「和食ブーム」が続いており、日本茶の味を知っている人が着実に増えている。その上で実際に日本に来て本場の茶を飲むことで真のおいしさを実感し、「購入したい」と考えるようだ。加えて日本ではペットボトルで茶が簡単に購入できるなど、「飲むきっかけ」のツールが充実していることも、人気を集める理由の一つとなっている。

 地理的表示(GI)保護制度に登録された「八女茶」や、ブランドを統一する「知覧茶」など、特性を生かした売り込みが特に期待される。複数の産地のブランドを統一することは、産地の名前と商品を国内外に売り込む良い手だてとなる。今後、インターネット交流サイト(SNS)やアンテナショップの人気に伴い、産地を売り込む動きはますます活発になる。(三宅映未)

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《日本農業新聞》

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